アグネスデジタル(牡4、栗東・白井)がテイエムオペラオーの天皇賞4連覇を阻止し、45年ぶり3頭目の外国産馬による勝利を飾った。馬場のいい外を通り末脚を生かした四位洋文騎手(28)の好騎乗が光った。南部杯を勝って急きょ、天皇賞出走を決めたことに、心無い中傷もあったが、この快勝でそれも吹き飛んだ。
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アグネスデジタルが時代の変革を告げた。
残り200メートル。盾4連覇を狙うテイエムオペラオーが内から伸びる。デジタルを馬場のいい外に持ち出した四位は、無我夢中で追う。ゴーグルは泥で真っ黒。何も見えなくなった四位は、相手がオペラオーとは分からず追いまくった。「道中の手ごたえがあまりに良かったので、ゴーグルを外す暇がなかった。内に1頭いるのは分かったが、それがどの馬だったのか…」。
ゴール前。オペラオーの脚色がわずかに鈍った。逆にデジタルはメンバー中最速の上がり35秒4の切れを発揮。「まさか勝っていると思わなかった」。四位は振り返るが、最後は1馬身突き放していた。4番人気とはいえ、3強に大きく水をあけられた単勝20・0倍。だが昨年のマイルCS勝ちがフロックではなかったことを証明した。
外国産馬の勝利は56年ミツドフアーム以来45年ぶり3頭目。一時(71年秋から99年まで)門戸が閉ざされた天皇賞で、開放2年目にして外国産馬のチャンピオンが誕生した。大阪・枚方市の自宅でテレビ観戦の渡辺孝男オーナーに代わり、応援に駆け付けた長女昌代さんは特別な思いを抱いていた。
今月8日の南部杯に勝ったデジタルは、賞金額でクロフネを超え、当初のマイルCSを変更、最終登録締め切り直前に天皇賞挑戦を決めた。外国産馬の出走枠は2つだけ(もう1頭はメイショウドトウ)。クロフネは割を食った形となった。インターネット上などでは、デジタルを非難する書き込みもあった。そのクロフネは前日27日の武蔵野Sで9馬身差の圧勝。ファンの間には「天皇賞に出ていれば」の思いがさらに募った。「クロフネがあれだけのレコードで勝ったから、ここで恥ずかしい競馬をすればまた書かれてしまう。もやもやをすべて吹き飛ばしてくれた」。昌代さんはホッとしたように話した。オペラオーを破るのは故障引退したアグネスタキオンだと思っていただけに、喜びもひとしお。心無い中傷をも吹き飛ばす大きな勝利だった。
これで重賞は芝で2勝、ダート5勝。距離の守備範囲も1600メートルから2000メートルと広がった。次走は11月18日京都のマイルCSだけでなく、11月24日東京のジャパンCダート、12月16日の香港マイル(いずれもG1)など、選択肢が広がった。「掛かる馬ではないので、距離が延びても大丈夫だと思っていた。これで夢が限りなく広がりますね」。こう語る白井寿昭師(56)は、今後のローテーションに悩む。香港以外にも海外挑戦に意欲を見せており、もちろんダートNO・1を決めるドバイワールドCも視野に入っている。
因縁のクロフネとの激突はジャパンCダートか、あるいはドバイか。今年で引退する3強に代わって外国産2頭が競馬界を盛り上げる。【岡山俊明】
◆アグネスデジタル▽父 クラフテイプロスペクター▽母 チヤンシースクウオー(チーフズクラウン)▽牡4▽馬主 渡辺孝男▽調教師 白井寿昭(栗東)▽生産者 カテスビークレイアンドピーターカラハン▽戦績 21戦9勝(中央16戦5勝)▽総収得賞金 5億1240万1000円▽主な勝ちクラ 00年ユニコーンS(G3)マイルCS(G1)01年南部杯(統一G1)
(2001年10月29日付 日刊スポーツ紙面より)※表記は当時

