素質馬が帰ってきた。ソーヴァリアント(牡4、大竹)が単勝1・9倍の1番人気に応え、連覇を果たした。勝ち時計は昨年より3秒5も速い1分57秒5。今年は2月に右第3中足骨を骨折し、休養明けの前走はレース中に心房細動を起こして13着。数々の苦難を乗り越え、復活の重賞2勝目を手にした。

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勇敢な走りでソーヴァリアントが連覇を遂げた。スタートを決め、理想的な好位に控えた。スローだった昨年とは異なりハイペースとなったが、自分のリズムを守り、じっくり我慢。3番手で直線を迎えると、一気にはじけて悠々と抜け出し、1馬身3/4差をつけた。

愛馬が先頭でゴールしても、大竹師は気が気でなかった。今年の2月に骨折、休養明けの前走は心房細動と度々、災難にさいなまれた。師は「前走は(状態が)すごく良かったんですけど、今回も同じくらい良かった。祈るような気持ちでした」。牧場とも連携を取りながら、復活を目指した。「苦労が実になっていますね」とほっとした表情をわずかに見せながら話す。レース後も「速い時計で走っているのに(口取り)写真を撮る時は息が整っている状態だった」と振り返る。次走は状態を見てから決定するが、大きなダメージもなく次に向かえそうだ。

ルメール騎手が「G1レベルにいけると思う」と話す未完の大器。中距離戦線の主役を担う日はそう遠くないはずだ。【下村琴葉】

◆ソーヴァリアント ▽父 オルフェーヴル▽母 ソーマジック(シンボリクリスエス)▽牡4▽馬主 (有)社台レースホース▽調教師 大竹正博(美浦)▽生産者 社台ファーム(北海道千歳市)▽戦績 11戦5勝▽総収得賞金 1億5024万2000円▽主な勝ち鞍 21年チャレンジC(G3)▽馬名の由来 とても勇敢