ダービー3勝、JRA通算2613勝の名手・福永祐一騎手(45)が8日、2023年度のJRA新規調教師試験に合格した。これにより、来年2月末で騎手を引退することになる。“福永番”として取材にあたってきた日刊スポーツ・藤本真育(まいく)記者が取材ノート(2)を振り返る。

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デビュー27年目。ジョッキーとして最前線を走り続けてきた。とはいえ、騎手・福永祐一はまだまだこれから-。そんな最高潮にある中で騎手人生を締めくくれるのは、翠夫人の支えがあってこそだった。前人未到のダービー3連覇がかかっていた今年5月、福永騎手は自身の充実をこう説明している。

「騎乗技術はもちろん、意識の持ち方って大事やなと思った。ここ5年でダービーを3勝。そんなこと5年前までは考えられなかったけど、今なら今年も、来年も勝てるんちゃうかなって本心で思えたんよ。その意識を自然と持てることで、パフォーマンスアップにつながる。そこに関して、自分は奥さんの影響が大きかった」

いつも隣にいて、新たな発見をさせてくれる。福永騎手にとって翠夫人は、自分になかった考え方を教えてくれる存在だ。家族の間ではほとんど競馬の話はない。週初めは競馬のことをあまり考えず、追い切り日から週末にかけてグッと集中し、仕事に取り組む。そんな環境も好成績を支えた要因だろう。

「結婚して変わったと思う。自分にとって大きな転機だった。すべてがいい方向に進んでいると思う。仕事もプライベートもね」

来年から始まる調教師としての新たな挑戦も“二人三脚”でトップまで登り詰めるに違いない。【藤本真育】