あるぞ、史上初の母子制覇。クリスマス決戦となる今年の有馬記念(G1、芝2500メートル、25日=中山)は、今年の古馬中距離G1を勝った全ての馬が参戦するなど、G1馬7頭が集結する豪華な一戦となった。エリザベス女王杯優勝馬ジェラルディーナ(牝4、斉藤崇)の母は14年有馬記念などG1・7勝のジェンティルドンナ。母子を所有する(有)サンデーレーシングの吉田俊介代表(48)が母子Vへの思いを語った。

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-ノーザンファーム副代表という顔も持つ。06年タタソールズディセンバーセールで祖母ドナブリーニを競り落として日本に連れてきた

吉田代表 毎年、繁殖牝馬の買い付けに参加させてもらっています。行き始めたころから使える金額は大きくなってきてはいますが、当時は欲しい馬を買うために、牧場として繁殖牝馬に使うお金をどう割り振るかという時期でもありました。設備投資なども同時進行で進めていかないといけなかったものですから。この頃から繁殖牝馬に使えるお金を増やしていったと記憶しています。ドナブリーニの落札額は50万ギニー、日本円にして1億2000万円くらいでした。そういう金額の馬を買ったのは私は初めてで、落とした時は手が震えていたと思います。その後からラヴズオンリーミー(ラヴズオンリーユーの母)とかアゼリ(02年米年度代表馬)とか、マンデラ(ワールドプレミアなどの母)とかを続けて買っていますが、ジェンティルドンナのような馬が出てきたことで、手応えを感じましたね。全部成功するとは当然思っていませんが、成功する馬が出てくることによって自信になりますし、有効な投資の仕方なのかなと思います。

-この血統に対する思い入れも深い

吉田代表 そうですね。ジェンティルドンナはデビュー前からすごいなと思っていました。育成段階で1ハロン15秒の走りをさせ始めたころから、そんな気持ちを抱いていました。期待していた馬が順調にいってくれるのはうれしかったですね。

-母ジェンティルドンナはジャパンC4着後に有馬記念に参戦した

吉田代表 5歳まで頑張ってくれた最後に、いい競馬をしてくれました。(4番人気で)人気がなかった分、喜びもひとしおだったのはよく覚えています。ジャパンCに石坂正元師が「このままじゃわしは終われない。使っていいか」とおっしゃって、有馬記念を使ったことをよく覚えています。あの年から枠順抽選が始まって、こういう順番で枠順を選びたいという打ち合わせをしていて。最初の年だったので、くじ引きで選ばれた陣営の順番で枠順を選べたんですよね。思えば、1番最初に名前を呼ばれて4番枠を選べたことが大きかったですよね。レース後の引退式では負けたバージョンの文章を考えていましたから。それをレース後、部屋にこもって書き換えて…。うれしかったなあ。

-サンデーレーシングはこれまで5度、グランプリを優勝している。今年の展望を

吉田代表 すごく強い馬がそろっています。エリザベス女王杯を勝たせてもらいましたが、3歳馬を含めて強い牡馬とも戦うわけですから。どちらかというと、挑戦する立場です。今の成長したジェラルディーナでそのメンバーに挑んで、どんな競馬をしてくれるのかすごくわくわくしています。

◆吉田俊介(よしだ・しゅんすけ)1974年(昭49)4月13日、北海道生まれ。慶大卒業後、ノーザンファームに入社。ノーザンファーム空港牧場の場長をへて、現在はノーザンファーム副代表。(有)サンデーレーシング代表も兼任する。父はノーザンファーム代表の吉田勝己氏。

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