あるぞ、史上初の母子制覇。クリスマス決戦となる今年の有馬記念(G1、芝2500メートル、25日=中山)は、今年の古馬中距離G1を勝った全ての馬が参戦するなど、G1馬7頭が集結する豪華な一戦となった。エリザベス女王杯優勝馬ジェラルディーナ(牝4、斉藤崇)の母は14年有馬記念などG1・7勝のジェンティルドンナ。母子を所有する(有)サンデーレーシングの吉田俊介代表(48)が母子Vへの思いを語った。

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-G1・7勝をしたジェンティルドンナの子ども。生まれた時の印象は

吉田代表 母の3番子で、いい馬でした。このお母さんの子どもですから、生まれてくれるだけでうれしいものがあります。ジェンティルドンナの子どもはほとんど遅生まれで、この馬も5月生まれです。小さい馬ではなかったけど、それもあって他の早生まれの馬とも比べると最初はきゃしゃに見えました。ですが、ずっといい馬だと思っていました。

-母に重ねる部分は

吉田代表 ジェンティルドンナはずっとしっかりしていた馬でしたし、そんなに似ている印象はありませんでした。ジェラルディーナは段階的に大きくなっていきました。背の高さもそうですね。成長は遅いといえば遅いと感じもしましたが、そこであんまり無理させると成長が止まってしまうので、そこを見極めながら競馬も使ってきました。テンションが上がってしまったりするところもあったので。このきょうだいはみんなそういう傾向で、そこが難しいところなのかなというのはあります。

-21年3月に母も管理した石坂正厩舎の定年解散をもって、斉藤崇厩舎に転厩。城崎特別8着後に3連勝して、3歳秋にオープン入りを決めた。そして、今秋のオールカマーで重賞初制覇

吉田代表 転厩後は(福永)祐一さんが乗ってくれていて、調教だったり、レースだったりでアドバイスをいただいて、お世話になりました。パドックでテンションが上がったり、どうやってゲートまで持っていくか、ゲートの中の振る舞いなども気にして教えてくれていました。それが今、実を結んでいると感じます。気性によって馬は体も減りやすかったりするけど、気持ちも落ち着いてきたのかな、と感じます。オールカマーでは他馬との兼ね合いで乗り替わりになってしまいましたが、スタートで無理せずだんだん前に行けるようになっていましたから。(横山)武史君が5、6番手の前の方に付けてじっとできました。いつも追いかける形でしたが、早めに抜け出して他の馬の追撃を待つ形で力を見せてくれました。

-続くエリザベス女王杯は大外18番枠から勝利。重賞連勝でG1初制覇を飾った

吉田代表 今、馬がすごくよくなってきています。徐々にそれは感じていましたが、オールカマーの前はまだそこまで自信を持って重賞を勝てるとか、G1に挑戦できるとかではありませんでした。レースごとに受けるダメージが減って傷まなくなって馬がしっかりしてきた印象を受けていました。エリザベス女王杯の舞台は内で、前めにつけないといけないレースになることが多いコース。18番枠と聞いた時は「大外!?」、という印象を持ちましたけど、だんだん雨がひどくなって外差し馬場に変わっていくにつれて、もしかしたら味方してくれるのかなと思いました。うれしい勝利でした。

-その後の調整をどう見る

吉田代表 ノーザンファームしがらきのスタッフや厩舎の方からの話では、エリザベス女王杯の後もダメージが少なかったと聞いています。重馬場で走った割には変わりなく、G1での疲労を引きずらない形で送り出せるのかな、と思います。

-ここにきての成長度合いは

吉田代表 自在性が出てきましたね。枠にもよると思いますが、前に付けていって競馬ができるようになりました。内から3列目、4列目にならないような競馬はできると思います。中山2500メートルはコーナーが6回ありますから、ずっと外にいると不利なので。前に行った方がスッとそういうポジション取れるでしょうから、前に行ってもいいような馬だと思います。

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