いよいよ明日4日、東西で新人騎手6人がデビューする。関東所属の小林美駒(みく)騎手(17=鈴木伸)は、今週勝てばJRA競馬学校を卒業した騎手の最年少勝利記録を更新。関西所属の河原田菜々騎手(18=渡辺)とともに、JRA女性騎手初のデビュー週勝利を目指す。

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河原田騎手は大阪・鶴見で育った。鶴見緑地へ遊びに行くたびに、乗馬クラブが目に入る。小さな頃から動物好きだった。小学4年の少女はある日、体験乗馬にチャレンジした。その楽しさが忘れられず「乗馬を習いたい」と両親に頼み込んだ。

「お父さんもお母さんもびっくりしてました。習い事はたくさんしていましたけど、乗馬という発想はなかったみたい。えっ? 馬? って感じでした」

少女は馬の魅力にはまった。馬に関わる職業に就きたいと考えていた頃、競馬のテレビ中継を見て騎手を志す。そこから、両親を仰天させた。夢をかなえたい一心で「栗東へ引っ越したい」と言い出したのだ。

「栗東にジュニアチームというのがあって、そこに受かりたくて引っ越したいと。父は単身赴任中で、私は1人っ子というのもあって、中学入学のタイミングで引っ越してきました」

思いをはせた少年団には抽選で入れず。京都の「Jドリーマーズ」へ通うことに。母が毎日、栗東から京都競馬場まで送迎してくれた。両親は一貫して応援してくれたが、競馬は全く知らなかったという。

小学校の卒業文集には「将来はジョッキーになりたい」と書いた。夢は現実となり、デビューを迎える。憧れは武豊騎手。初めてG1を観戦したのが、キタサンブラックが勝った17年天皇賞・春だった。

「1番人気で勝つ姿がすごく格好良かった。いつか自分もこういうところで乗りたいと思いました」

女性騎手の先輩の活躍も著しい。「私も頑張りたい。女性だから追えないとか、乗れないとか言われないように。周りの方から信頼されて愛されるジョッキーになりたいです」。初陣は土日とも阪神で計7鞍。夢の第1歩に注目だ。【網孝広】

■「楽しんで」今村聖奈がエール

3月から実質の2年目を迎えた今村聖奈騎手(19=寺島)が、今年デビューする女性騎手2人にエールを送った。1年前の自身を振り返りながら「競馬は絶対に緊張すると思うけど、楽しんで乗ってくれたらいいなと思っています。競馬のことは上のジョッキーに聞いてもらえばいいけど、それ以外で困ったことがあれば相談に乗るので言ってくれれば」と笑顔で話した。

◆古川奈穂騎手 私にできることは少ないけど、困ったことがあったら言ってもらえれば。女性騎手が増えるのはいいことだと思いますし、またいろいろ話せればいいですね。もちろん負けるつもりはないですし、より頑張らないと、と思っています。

◆永島まなみ騎手 すごくフレンドリーで明るい性格です。ただ、競馬学校の時からすごく負けず嫌いで、気の強さを感じていました(笑い)。それは騎手向きだと思います。

◆河原田菜々(かわはらだ・なな)2004年(平16)11月13日。大阪府生まれ。小学4年から乗馬を始める。中学時代は京都競馬場に通い腕を磨いた。尊敬する騎手は武豊騎手。お笑いが好き。ダウンタウンの番組を見るのが楽しみ。158.1センチ、47.2キロ。血液型O。