JRAは3日、3年目の永島まなみ騎手(20=高橋康)、古川奈穂騎手(22=矢作)、2年目の今村聖奈騎手(19=寺島)、角田大河騎手(19=石橋)、ルーキーの河原田菜々騎手(18=渡辺)、小林美駒(みく)騎手(18=鈴木伸)をそれぞれ30日間の騎乗停止としたことを発表した。開催日における通信機器・スマートフォンの不適切使用に対する制裁で、若手騎手6人に同時に処分が科される前代未聞の事態となった。

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今回の騎乗停止問題は、女性騎手控室という盲点もあった。久保審判部長は「ジョッキールームは男性と女性に分かれていて、男性ジョッキーは数も多いが、女性ジョッキーは全体で6人しかいない。かなり閉鎖された空間でもあり、我々も勝手に入れないという状況でもあった」と特殊な状況における管理態勢の難しさを述べた。これからも女性騎手は増えていくと予想されるが、異性または同性間での管理態勢など、改善点は多い。

ボートレースや競輪など他の公営競技では調整ルームへの通信機器の持ち込みが一切禁止されている。ただ今や、通信以外でも用途が広がりスマホは生活に欠かせないアイテムともなった。各競技のルールが、このスマホ社会にあって時代錯誤という見方もできる。同部長も時代に即したルールの見直しには一定の理解を示している。

そもそもJRAの管理態勢は騎手の裁量に任せられている部分が大きい。今回の対象騎手は全員がデビュー3年目以下で、ルールの誤った解釈がその背景にある。時代に即してルールを見直すのなら、同時に対象となる騎手への周知徹底や意識付けが不可欠でもある。そうでないと、誤認識で騎乗停止を受ける騎手にも、処分を下すJRAにも、何より競馬を楽しみにするファンにとってもマイナスでしかない。【中央競馬担当サブキャップ・奥田隼人】