G1馬10頭が集結した安田記念(G1、芝1600メートル、4日=東京)の追い切りが5月31日、東西トレセンで行われた。調教を深掘りする「追い切りの番人」では、東京の松田直樹記者が史上3頭目の連覇を狙うソングライン(牝5、林)をチェックした。G1・2勝目を挙げたヴィクトリアMから中2週。詰まった間隔でのハード追い消化にV2への手応えを感じ取った。

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実にたくましい。先週に続いて今週も、ソングラインは美浦ウッドで2頭の間を割る3頭併せを消化した。前走はヴィクトリアM。良馬場発表とはいえ、各馬が内を避けるタフな馬場をインから伸びている。中2週の反動を心配したくなるところだが、余計なお世話だった。林師は「ヴィクトリアMの時の最終追い切りと同じイメージで、大変いい動きだったと思います」。内パライバトルマリン(3歳2勝クラス)に1馬身、外ヴァンナチュール(3歳未勝利)に3馬身先着した動きを高く評価した。

明確なテーマがある。「状態を維持するより上げていこう、と」(林師)。掲げた目標は1年前と同じだ。昨年はヴィクトリアM5着から見事に安田記念を優勝。同じローテの今年は前走時に併せ馬の本数を増やすなど、調整段階で負荷を強めてG1連戦の初戦を勝ちきった。一連の過程を見ても、今年の方が馬の仕上げが進んだ状態での立ち上げ。そこから、さらに攻め抜いた。

当然、高い要求はダメージが残っていては課すことはできない。林師は「もともと丈夫な馬。昨年以上に反動が少なかったですから」と話した。昨年の1週前追い切りは金曜日。今年は木曜日。1日前倒しすることができた。これが師のコメントの裏付けにもなる。この中間はレース3日後の5月17日から馬場入りを再開。「なんとか1段階上げられないかチャレンジしてきました」。デビュー時から放牧先とトレセンを行き来し、停滞なく成長を遂げた。その集大成を見ようとしている。

この日、戸崎騎手と刻んだ時計は5ハロン67秒3-11秒3。全体時計は前走時よりも速かった。しまいに少しだけ促されてからの1ハロンの加速にはほれぼれした。鞍上も「本当に順調。ヴィクトリアMより動きが良くなっている」。心身の充実度を加味すれば、キャリア最高を思わせる出来。08&09年ウオッカに続く、史上3頭目の連覇を支持したくなる。【松田直樹】

◆安田記念連覇に挑戦した馬 84年のグレード制導入以降、14頭が出走し【2 4 1 7】。ヤマニンゼファー(92、93年)、ウオッカ(08、09年)はどちらも前年とは異なる騎手で連覇を成し遂げた。ソングラインは昨年、池添騎手とのコンビで優勝。今年は戸崎騎手が手綱を取る。