ジャパンC(G1、芝2400メートル、26日=東京)にフランスから参戦するイレジン(セン6、J・ゴーヴァン)の共同会見が23日、東京競馬場で行われた。管理するジャン・ピエール・ゴーヴァン調教師(60)の一問一答は以下の通り。

-フランスでどのくらい仕上げてきたのか?

ゴーヴァン師 フランスで準備として出たフォワ賞は非常に暑い時期のレースでした。8月末に筋炎(※コズミの症状)になっていたことがありましたが、フォワ賞は100%の状態で臨むことができました。非常に高速馬場で暑い中でしたが、いいレースができました。そこからコンセイユドパリ賞へ向けた調整は軽くしましたが、調子はどんどん上がっていきました。コンセイユドパリ賞でいい成果が出たので、このような調整ならジャパンCに100%で臨めると思ったので、フォワ賞とコンセイユドパリ賞の間と同じ調教をすれば、と思ってやってきました。

完璧な状態で出国しましたし、長距離輸送をこなすことができました。36時間の輸送でした。当初は(パリの)シャルルドゴール空港からエールフランスの予定でしたが、結局(ドイツの)フランクフルトから飛んで13時間で、全部で36時間かかりました。非常に落ち着いた馬です。今回、マルカンという帯同馬は必要不可欠であったと思っています。輸送中に同厩舎の馬がいるのも大事ですが、調教時もリードホースとして、大事な存在です。(到着後)月曜に筋炎になったことがわかったので、軽めの調整にとどめました。非常に心配していたが、対処しました。地下馬道を通るのには慣れていませんので、地下馬道では引き馬にするなど、工夫しています。JRAの獣医からは筋炎への対処をしていただきました。レースのある日曜までにはすべてが解決するだろうと考えています。毎日調教していますが、非常に状態はいいです。ゲート試験もうまくいきました。水曜も今朝もさらに良くなっているのを感じました。出国前と同じような素晴らしい状態で、私たちと同じように、イレジン自身も「東京に来ることができてうれしい」と感じていると思います。

-ジャパンCの距離はベストだと思いますか?

ゴーヴァン師 2400メートルというのは理想的だと言えます。ただし、いろいろな距離に対応できる馬だとも言えます。(ロワイヤルオーク賞の)3100メートルの不良馬場でG1を勝利し、(ガネー賞の)2100メートルのG1も勝つことができる。いろいろな距離に対応できる馬です。2100メートルよりはイレジンにとっていいと考えています。

最後に追い込むタイプの馬で、距離よりも馬場状態を気にしますね。アルクール賞は100%の状態ではなく、シムカミルに敗れましたが、ガネー賞は勝つことができました。距離はどういった距離にも対応できます。馬場状態は、最も得意とする「他の馬が好まない重馬場」にはすごい力を発揮すると思います。レース展開、馬場状態がどうなるか、ということだと思います。

-東京競馬場の馬場は硬く、海外からの競走馬には慣れないコースだと思うが、イレジンは適応できると思いますか?

ゴーヴァン師 確かに、私たちが恐れていることでもあります。高速馬場に関してはこれまでもイレジンもアルクール賞(2着)でパフォーマンスを上げることができるのを証明してくれています。硬いのは高速馬場とは別の問題と思いますが、対応できると思います。シムカミルに負けましたが、これはどちらかというと、馬場状態ではなく、イレジンの準備が足りなかったからだと思っています。出走馬の頭数がフランスのG1、G2より多いが、これについてはマリー・ヴェロンが考えてくれると思います。馬が自分から進んでいくかもしれませんし、いずれにしても末脚に期待したいと思います。

-ジャパンCはイレジンが東京競馬場に適応すると思って決めたのか?

ゴーヴァン師 朝の東京競馬場で調教するのは非常に気持ちがいいです。ジャパンC以外に可能性として考えられたのは英チャンピオンSでした。フォワ賞の後、コンセイユドパリ賞などの様子を見て、英チャンピオンSとジャパンCの距離を見て、日本に来るのを決めました。英国はもしかしたら来年連れて行くかもしれませんが、ジャパンCは昨年からJRAのパリ事務所の方から何度もお誘いをいただいていました。もうひとつはタイミングです。コンセイユドパリ賞の6週間後でタイミングがいいと思いました。輸送に耐えられるのもわかったし、ゲートテストもうまくいきました。レースを終えて、無事にフランスに帰りたいと思います。国際レースは冬に行われることもありますが、私たちは冬は放牧地に帰すことが大事だと考えています。冬の休みを考えたときにジャパンCはいい。タイミング的には「チャンピオンS→香港国際競走」というのもありますが、香港は気候が不安定というのもありました。

-今年のジャパンCで欧州馬、外国馬として唯一の馬です。誇りに思っていますか?

ゴーヴァン師 (笑顔で)誇りに思ってます。

-イレジンの強みはなんだと思いますが?

ゴーヴァン師 メンタルが強いです。ジョッキーのマリー・ヴェロンと同じで気合に満ちてます。イレジンとヴェロンは気の合うカップルです。最大限の能力を発揮しようと努めています。

-理想の枠順、そして、イクイノックスとリバティアイランドについてはどう思いますか?

ゴーヴァン師 枠順についてはマリー・ヴェロン騎手と同じ考えだといいけど、フルゲートであれば、中央の7~10番くらいが引ければと思います。脚質的に枠順によってレースが決まるタイプではないが、中央であればと思います。もちろん、競走馬を連れてきているので、勝ちたい希望は持っています。しかし、日曜の天気を考えると、馬場状態は2頭(イクイノックス、リバティアイランド)に有利だと思います。勝てれば素晴らしいし、いずれにしても勝つために参加しています。

-セールで落札時にジャパンC参戦を意識したのか

ゴーヴァン師 仲間で共同購入しています。毎年4頭で、購入するときのポイントの最優先は、リーズナブルであることです。気に入った馬でも高価で手が出ないこともあります。イレジンが目を引いたのはホワイトソックス(白い脚)でした。普通、敬遠されることが多いのですが、私はハートを射抜かれました。馬主の子どもたちもひかれていました。そのときに買った4頭で一番安価だったのが、イレジンでした。