阪神でも関東旋風が吹き荒れた。3番人気のアスコリピチェーノ(黒岩)が最後の追い比べを制して、無敗の2歳女王に輝いた。

北村宏司騎手(43)は、キタサンブラックで制した15年菊花賞以来8年ぶりのG1制覇、管理する黒岩陽一調教師(42)はうれしいG1初勝利となった。2着にステレンボッシュ(国枝)、3着にはコラソンビート(加藤士)が入り、関東馬が上位を独占した。

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レース後、くしくも北村宏騎手、黒岩師は「自信を持って臨むことができた。(結果を出せて)ホッとしている」と同じコメントを発した。

コンディションに自信を持った鞍上は隙のない騎乗をした。「前回に比べてスタートが上手になっていました。少しゴチャつく場面もあったけど、馬は冷静に走り続けてくれました」。道中は8番手で折り合った。自信があるから慌てることなくレースを進め、直線で進路が開くと自信を持ってゴーサイン。「手応えもあったし、いい反応でした」。スピードに乗ったアスコリピチェーノは瞬く間に先頭に立つ。それを追ってきたのはコラソンビート、ステレンボッシュの関東2騎だけ。馬体が合うと再び伸びて最後まで抜かせることなくフィニッシュした。北村宏騎手は15年の菊花賞(キタサンブラック)以来8年ぶりのG1制覇。「間にもチャンスはありましたし(それらが)今日につながったと思います」と振り返った。

黒岩師は初のG1勝利を「ホッとしたけど、よくよく考えるとうれしいですね」と喜びをかみしめた。自信を持つきっかけとなったのは、11月30日の1週前追い切りの後。「食欲が落ちずに落ち着いていたんです。この子はもっとすごい子なんだと思って強い調教を課すことができ、それに応えてくれました」。きつい調教をこなし、仕上がった愛馬の力を信じて送り出せた。

無傷3連勝での戴冠だ。今後は追われる立場になる。「2歳チャンピオンの名に恥じないレースをお見せできるように」と師。来春最大の目標、桜花賞まで気の抜けない日々を、北村宏騎手、黒岩師と2歳女王はともに歩んでいく。【明神理浩】

◆アスコリピチェーノ ▽父 ダイワメジャー▽母 アスコルティ(デインヒルダンサー)▽牝2▽馬主 (有)サンデーレーシング▽調教師 黒岩陽一(美浦)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 3戦3勝▽総収得賞金 1億493万6000円▽主な勝ち鞍 新潟2歳S(G3)▽馬名の由来 イタリアの都市名