世界最強馬がターフに別れを告げた。G1・6勝馬イクイノックス(牡4、木村)の引退式が16日、最終レース終了後の中山競馬場で行われた。

馬主の(有)シルクレーシングの米本昌史代表、木村哲也師、クリストフ・ルメール騎手、阿部孝紀助手、楠友広助手、ノーザンファーム天栄の木実谷雄太場長が参列した。

同馬は来春から社台スタリオンステーションで種牡馬入り。初年度から2000万円の高額種付け料が設定されている。

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馬主の(有)シルクレーシング米本昌史代表は「ジャパンCの優勝からまだ3週間。あっという間にこの日が来てしまったなと。馬に感謝の気持ちでいっぱいです」と話した。

父になるイクイノックスへの期待については「競走成績、フィジカル、メンタルと期待と、全てを最大限評価いただいた。本当にありがたいなと。順調にいけば4年後。楽しみだなと思います」と真っすぐな視線で言葉を口にした。

以下、最後のあいさつ全文

米本代表 イクイノックスは2年余りの競走生活でありましたが、2歳、3歳の成長期はレース後の疲れによる反動が大きく、馬の体調を見ながらのレース選択となりました。その中、ジオグリフ、ドウデュース、パンサラッサなど、たくさんのライバルに恵まれ、切磋琢磨(せっさたくま)する中で、天皇賞・秋、有馬記念とG1を2つ勝つことが出来ました。

4歳となりました今年、ドバイシーマCでは、世界の強豪を従えて完勝。一躍世界のトップホースとなりました。帰国後、宝塚記念を勝利した後、ノーザンファーム天栄へ放牧に出ました。今年の夏は酷暑と言っていい厳しい夏でありましたが、夏負けするとなく、この馬はさらなる成長を遂げていました。天皇・皇后両陛下のご行幸啓をたまわった天皇賞・秋では、1分55秒2というレコードタイムで走り抜け、ラストランとなりましたジャパンCでは、想像を超えるパフォーマンスに感極まったルメール騎手の姿がありました。秋の完成形とも言える走りは、力強く、しなやかで、美しいものであり、見るものを全て魅了するものであったと思います。ここまで育ててくださった木村厩舎の皆さま、美浦トレーニングセンターの皆さま、関係者の皆さま、ノーザンファームの皆さまに感謝申し上げます。すさまじいプレッシャーの中で結果を出し続けることが出来たのは、出資会員の皆さまはもちろんですが、暖かく見守ってくださったファンの皆さまのおかげです。

イクイノックスは競走生活を引退し、北海道社台スタリオンステーションにて、第2のキャリアをスタート致します。早ければ、4年後の2027年には子どもがデビューすることでしょう。子どもたちにも、暖かいご声援をお願いいたします。最後になりますが、2年余りの間、暖かいご声援をありがとうございました。そしてイクイノックス、ありがとう。あなたの素晴らしい走りを脳裏に焼き付け、父イクイノックスという競走馬がターフで躍動する姿を楽しみに、お別れしたいと思います。