定年間近に東西重賞ジャックだ! 引退まで残り1カ月あまりの安田隆行調教師(70)が、日曜京都のシルクロードS(G3、芝1200メートル、28日)にアグリ(牡5)とサンライズロナウド(牡5)を、同日東京の根岸S(G3、ダート1400メートル)には、明け4歳馬エクロジャイト(牡)を送り出す。名門の管理馬に注目が集まりそうだ。

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騎手、調教師を合わせて50年以上も、安田隆師は競馬界を盛り上げてきた。91年には騎手としてトウカイテイオーでダービーを制覇し、調教師では多くの名馬を育成。そんな“名ホースマン”も、定年まで残り1カ月あまりとなった。

「もう終わってしまうのかという意識はあります。さみしさもありますし、引退後に何をしようか、という感じ。競馬を見て、馬券を買って楽しみたいなあと考えていますが、いつものトレセンに行って仕事をするルーティンがなくなるのは不思議な感じです」

安田隆厩舎と言えば、短距離のイメージがある。G1・6勝ロードカナロアをはじめ、G1・2勝カレンチャン、ダノンスマッシュなど、スプリント戦線をけん引してきた。

「これまで短距離で大きなレースを勝たせてもらった。なので、短距離戦には思い入れがあるんです。あと少しですが、いい結果を残したいです」

シルクロードSにはアグリ、サンライズロナウドと2頭がスタンバイ。「アグリは変わらずいい状態ですし、できるだけいい馬場で走らせたいですね。サンライズロナウドも状態は変わらずにきていますよ」と両馬ともに期待する。

根岸Sにもエクロジャイトを送り出す。「距離短縮がどうかですね。うまくこなしてほしいです」。慎重な口ぶりでも、通用するスピードは備えている。13日の愛知杯をミッキーゴージャスで制した名伯楽。定年まで目が離せない。【藤本真育】

◆絶好調 今春に定年を迎える安田隆師、中野師は、ともにJRA重賞を勝利するなどラストイヤーも絶好調。安田隆師は愛知杯(ミッキーゴージャス)を弟子の川田騎手とのコンビで勝利。全国リーディング13位(3勝2着4回)。中野師はブローザホーンで日経新春杯を勝利するなど全国リーディングは現在12位(3勝2着5回)。最後まで両者の活躍から目が離せない。

◆安田隆師のシルクロードS成績 重賞昇格後の96年以降では管理馬9頭が出走。12年ロードカナロア、19年ダノンスマッシュが1着。13年ダッシャーゴーゴーが2着に入っている。