昨年末の有馬記念で見せたドウデュースの走りはまだ記憶に新しいが、今年もG1が間もなく始まる。そのフェブラリーS(G1、ダート1600メートル、東京=18日)は根岸Sまでのステップレースを終え、出走馬の顔ぶれが固まりつつある。それと同時に少し気になったのは、レースレベルの質の問題。ほぼ同時期の24日には、海を越えたサウジアラビアでサウジCデーが開催される。メインのサウジCには日本から昨年のフェブラリーS覇者レモンポップや、同3着馬メイショウハリオらが参戦を予定している。

昨年の上位馬不在により、今年のフェブラリーSは例年以上の混戦模様。また、世間では国内G1の空洞化という意見も目にするようになった。マイナスイメージも先行するが、それは果たして本質なのか。取材する中である陣営は「今年はレモンポップもいないですし、出る馬全頭にチャンスがあると思う」と歓迎する声があった。日本馬の海外挑戦については「日本の競馬の底上げになるのでは」という意見もあった。

現に今年のフェブラリーSは地方からイグナイターやスピーディキック、ミックファイアが参戦。ガイアフォースやカラテ、シャンパンカラーら芝路線からの転戦組も例年にないくらい多く出走の意思を示している。これらも混戦に拍車をかける一因となっているが、地方・中央の力比べや未知なるダート適性の魅力などレースとして非常に面白いと思う。

その国内G1でしのぎを削った中からまた新たなスターが誕生し、今度は海外挑戦組の馬たちとぶつかり合う。そしてまた、レースや日本馬の質が上がっていく。目の前だけ見れば“空洞化”という言葉も間違いではないが、その先の好循環が生み出す“充実化”も裏を返せばある訳である。そういう期待にも胸を膨らませ、今年のフェブラリーSやサウジCを今から心待ちにしたい。【奥田隼人】