無敗王者ジャンタルマンタル(牡、高野)が「スイッチオフ」でクラシックへ飛躍する。

昨年は3戦3勝で最優秀2歳牡馬に輝き、日曜東京の共同通信杯(G3、芝1800メートル、11日)で3歳初戦を迎える。大目標に掲げる皐月賞(G1、芝2000メートル、4月14日=中山)へ向け、中距離仕様の走りを求められる一戦だ。

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洋々たる未来へ、まず200メートルの前進を果たす。3戦全勝の王者ジャンタルマンタルが今年初戦に臨む。先週水曜の1週前追い切りで、レースを待ちわびるように推進力全開の走りを披露。オレンジのメンコが坂路に弾んだ。4ハロン52秒4。ラスト11秒6は同日最速タイ。絶好の動きにも見えたが、高野師の目にはやや前向きすぎるように映った。

「少しスイッチが入るところがあった。より成長してパワーもついたので、その制御ですね。持っている能力からすると距離はこなすけど、それが適性を阻害する要因になりえるので」

春の大目標を皐月賞に定めただけに、中距離仕様の走りが必要になる。頂点を極めたマイルから、初戦以来の1800メートルへ。過去5年がいずれもスローペースという一戦で、本番へ向けて折り合いをテストされる。道中では「スイッチオフ」が必須だろう。

黒鹿毛の馬体に流れる血はむしろ中長距離指向だ。父パレスマリスはダート2400メートルのベルモントSを制し、母も芝2200メートルで重賞V。「どのレースになるかはまだ分からないけど(皐月賞後は)東京のG1が目標になると思う。その確認をしておきたい」。5月に立つ大舞台はNHKマイルCか、あるいはダービーか。府中9ハロンを走った先に、目指すべき道が見えてくる。【太田尚樹】