パンサラッサの歴史的な勝利から1年…、サウジC(G1、ダート1800メートル、24日=キングアブドゥルアジーズ)ウイークがやってきた。

今年も日本からレモンポップ(牡6、田中博)、ウシュバテソーロ(牡7、高木)、デルマソトガケ(牡4、音無)、クラウンプライド(牡5、新谷)、メイショウハリオ(牡7、岡田)の5頭が参戦し、初めてJRAの海外馬券発売も行われる。現地で取材する木南友輔記者が連載「キナミの帝王~サウジにふたたび編」をお届けする。

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「一発で決まってしまうやつですね」。美浦トレセンでの取材中、レモンポップの田中博師がつぶやいた言葉が今年のサウジCのレベルを的確に表現する。

JRA最優秀ダートホースのレモンポップ、ドバイワールドC覇者でJRA賞特別賞受賞のウシュバテソーロ、BCクラシック2着デルマソトガケ、米国からはBCクラシック覇者ホワイトアバリオ、ペガサスワールドC覇者ナショナルトレジャー。5頭はいずれも120ポンドを超えるレーティングを持つ。仮にこの5頭が上位を独占し、1着から4着までの差が大きなものになると、勝った馬のレーティングはとてつもない数字になる。超高額賞金レースとして注目を浴びた初年度からわずか4年…、今年のサウジCは「上半期の世界最強ダート馬を決めるレース」という地位を獲得した。

出国前の取材、日本の“ビッグ3”はいずれも感触がいい。レモンポップの田中博師は「前走が(競走生活の)ピークかと思ったのですが、馬体の感じはもうひと成長があって、もう一段階パフォーマンスを上げてくるかもしれません。今が充実期であるのは間違いない」。ウシュバテソーロの高木師は「東京大賞典のパドックを見ていて、落ち着いているなあ、ドッシリしたなあと思いました。馬体は若いですよね。7歳になって完成されてきたところはあると思います」と語り、デルマソトガケのルメール騎手は「追い切りに乗ったけど、去年の秋、BCに行く前より良かった。まだ4歳で成長してます。レモンポップが前、ウシュバテソーロが後ろ、その間からヒュッ」と不敵に笑う。

今、自分は月曜の夕方、成田空港の出発ロビーでこの原稿を書いている。20年に第1回の歴史的な開催を取材して以来、いざ、4年ぶりにサウジアラビアの首都リヤドへ。白熱のフェブラリーSがあり、サウジ、3月のドバイ…、その先で国内組と海外組が激突すれば、見えてくるのは秋のBCクラシック、チャンピオンズCで日本のダート馬が「世界最強」の称号を手に入れる瞬間だ。現地で熱戦を見届け、伝えたい。と書き終えたところで、予定した便の遅延が決定…。火曜未明にリヤドに着くはずが、一転、いつになるのか…。大丈夫かよ、おい。(つづく)

◆サウジC 20年に創設。22年に国際G1となった。舞台はキングアブドゥルアジーズ競馬場のダート1800メートル。賞金総額2000万ドル(約30億円)、1着賞金1000万ドル(約15億円)はともに世界最高額となっている。昨年は日本馬パンサラッサが逃げ切って優勝。日本のテレビニュースでもその高額賞金が話題となった。