無事に現地到着? 連載「キナミの帝王~サウジにふたたび編」の木南友輔記者は21日、キングアブドゥルアジーズ競馬場で日本馬の追い切りを取材した。BCクラシック2着からサウジC(G1、ダート1800メートル、24日)に挑むデルマソトガケ(牡4、音無)はクリストフ・ルメール騎手(44)が絶賛も、共同会見で音無秀孝師(69)が思わぬアクシデントを吐露した。

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4年ぶりのキングアブドゥルアジーズ競馬場。まずは同様にダートを手に取ってみた。4年前ははっきりとウッドチップが混ざった砂(土)という印象だったが…。「チップが消えた」。ジョッキー、厩舎関係者の声は「去年よりさらに深くなった」「調教段階では昨年よりパワーが必要な馬場」「重たくなって、ドバイに近づいた」「当日の散水でまた変わってくる」。

水曜朝は多くの日本馬が追い切られた。午前6時、ダートコースで栗毛の馬体をはずませたのがデルマソトガケだ。力強いギャロップで、ルメール騎手の感触は出国前と変わらず絶好だった。「すごくいい感じでした。状態はバッチリです。5ハロン(1000メートル)からペースを上げて、直線は無理をしないで伸びてくれた。普段は単走だと物見をして楽をしようとするけど、とても真面目で大人になってます。馬場も問題ない。息遣いも良かったです」。頼もしい言葉が続き、3時間後の音無師の会見を楽しみにしたのだが…。

BCクラシック2着馬のトレーナーの会見は衝撃の言葉で始まった。「輸送に関しては飛行機の中で問題があって」と。サウジ到着後に右目付近と顔の右側全体がひどく腫れており、想像ではあるが、他馬と飛行機の中でけんかをした様子とのこと。「今は腫れもひいて、目もパッチリ開いているので、レースで精神的な影響がなければ」と包み隠さず明かした音無師。「でも、今日の動きは良かったよね。この馬はドバイ、アメリカの走りがいい。去年のサウジの馬場が合わなかったわけじゃないけど、今年の馬場はアメリカに近づいているね」。言葉の端々には自信も見えてくる。(つづく)