大阪杯(G1、芝2000メートル、31日=阪神)の最終追い切りが27日、東西トレセンで行われた。G1出走馬の調教過程を深堀りする「追い切りの番人」では、東京の舟元祐二記者が、重賞馬ローシャムパーク(牡5、田中博)を取り上げる。同じ日に坂路とウッドをこなす高負荷トレーニング。香港C8着と海外遠征も経験し、精神的にも進境を見せたことに注目した。

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まだやるのか。午前8時30分に馬場入りしたローシャムパーク。角馬場で30分、じっくりと体をほぐした後、坂路に向かった。単走で15-15ペースを刻み登坂する。これがウオーミングアップだ。そしてウッドへ。午前9時10分ごろに併せ馬を行った。外ターコイズフリンジ(3歳1勝クラス)を3馬身半追走し、1馬身先着。時計は6ハロン80秒6-11秒2。余裕しゃくしゃくの馬なりでゴール板を通りすぎ、向正面まで余勢があった。約1時間の調整を終えた後も、全くへこたれていない。むしろ息をはずませていた。まるでちょうどいいかのように。この追い切りメニューは1、2週前と同じ。中間はずっと平然とこなしてきた。そのタフさは田中博師が「こたえていない。フィジカル面での成長があってベースが1段上がって、強い調教にも耐えられるキャパシティーが増えています」と評価するほどだ。

昨年夏の函館から強度の高い調整をしていると感じていた。函館記念時は追い切り以外ではウッドで負荷をかけ、追い切りは2週連続で雨で湿った重い洋芝を駆け抜けた。師は当時「これまでにない調教量を課しています」と話していた。そしてこのレースを制し、飛躍のきっかけとした。今回はそれを上回るほどの入念な乗り込みをしている。

精神面にも進境はある。1、2週前追い切り後には馬房内で旋回する癖があった。師は「旋回がマイルドになっています。少なからず香港遠征がいい経験となり、この子なりに成長していますね」。初の海外遠征となった香港Cは8着。結果は出なかったが収穫はあった。「この子の中での比較ではいい状態です。ここで挽回できれば」。G1の大舞台で高負荷トレーニングの効果を試す。状態に文句はない。いじめ抜いた馬体を披露する時が来たようだ。【舟元祐二】