【ドバイ(UAE)28日=桑原幹久】ドバイWCなど日本で馬券を発売する4競走の枠順が28日に確定した。海外初取材の東京・桑原幹久記者が担当する「ドバイ最前線」第4回は、海外競馬に精通するオーストラリアのアンドリュー・ホーキンス記者に突撃取材。4カ月ぶりの再会に浸る間もなく? 自身の予想的中に向け、ドバイWCなど3レースの見解を聞き出した。今年のメイダン競馬場の芝、ダートコンディションも紹介する。

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日本勢の調教が一段落した午前7時頃、多数の海外メディアから見覚えのある顔を発見した。小走りで駆け寄り「エクスキューズミー」と声をかけると「オー! アイリメンバーユー!」と肩をたたいてくれた。相手はホーキンス記者。世界を飛び回り、競馬記者歴は16年。昨年11月、美浦トレセンの見学に訪れた同記者を取材したことがあった。雑談でも…と思ったが、余裕は皆無。「レースの見解を聞きたくて…」と困り顔を見せると「OK!」と快諾してくれた。

まずはドバイターフ。

ホーキンス記者 ドウデュースはイクイノックスを倒した馬の1頭として世界から注目されている。武豊騎手も有名。海外でもう1度勝ってほしいと思う記者は世界中にいると思う。ロードノースは3連覇中だけど正直衰えは否めない。ドウデュースとナシュワがいい勝負をすると思うよ。

続いてドバイシーマC。

ホーキンス記者 リバティアイランドは特別に素晴らしい馬。オークスの時のような走りをしたら間違いなく勝つだろう。オーギュストロダンはドバイの時計の速い馬場が合いそう。エミリーアップジョンはリバティと同じくらいの強さを持っているけど、不安定なところがある。日本勢の上位独占もあり得ると思う。

心強い…。最後はドバイワールドC。

ホーキンス記者 各馬にチャンスがあって予想が難しいね。注目すべきはカビールカーン。カザフスタン、ロシアとパート1国以外からここにたどり着くのは珍しいこと。米国勢ではニューゲートが面白い。セニョールバスカドールは距離延長が少し疑問。

サウジC覇者を疑問視とは鋭い視点。

ホーキンス記者 デルマソトガケ、ウシュバテソーロ、カビールカーン、ローレルリバー。この4頭に絞る。地元のローレルが逃げて、デルマ、カビールも好位から。ウシュバやカビール、デルマが捉えるか、ローレルが止まらないか。現状ではウシュバを推すけど非常に難しいレースだね。

「ローレルリバー!?」と超大穴馬の名に思わず声を上げると「ハッハッハ。健闘を祈るよ」と笑顔で返された。日本勢の活躍は願うが、予想は別物。現地取材の強みを生かして、締め切り間際まで頭を悩ませたい。(つづく)

■芝の状態は

「硬い」「時計が速い」との声が多数だ。川田騎手が「今年の芝がとても硬いなというのが第一印象ですね」と話せば、ルメール騎手も「馬場は速い。風が強いから下が結構硬い。去年より硬いみたい。スターズオンアースは日本の速い馬場で結果を残しているから問題ない」と感触を口にする。馬場に精通する関係者によれば、日本の芝より丈が長く密度も濃い。例年だとドバイのクッション値はJRAが日本で発表している「8」前後で「雨上がりの良馬場」に近いという(写真)。実際に芝を触ると「長くてねちっこい」という印象だが、ジョッキーらの感触通りに時計勝負ならスピード水準の高い日本馬が優勢か。

■ダートの状態は

今月上旬の大雨の影響で地盤が固まり、昨年以上にスピードを求められそうだ。ルメール騎手は「前が止まりづらいしスピードが大事」、ウィルソンテソーロの追い切りに騎乗した原騎手は「昨年来た人に聞くと、今年は路盤が硬くて芝馬向きの馬場だそうです。ウィルソンには合うと思います」と話していた。実際に手を入れると、砂は軽く、風でさらさらと飛んでいった。ただレース当日は頻繁に水をまくそうで、ウシュバテソーロで連覇を狙う川田騎手は「話は聞いた上で乗りましたけど、個人的にはさほどの違いは感じなかったので心配することはないと思います」と意に介さなかった。