唯一の3歳牝馬マピュース(和田勇)が古馬も牡馬も撃破して重賞初制覇を果たした。

テン乗りの横山武史騎手(26=鈴木伸)が意表を突いて2番手につける積極策で見事にエスコートした。桜花賞4着の実力馬。次走は未定だが、今後の飛躍が期待される。

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固く握って喜びを表した右手で、マピュースの頭と首筋をポンとたたく。見ての通り、横山武騎手にとって会心の1勝だった。

「最後は『伸びてくれ』という強い気持ちに、馬がよく応えてくれたと思う。(中京へ)来たかいも減量したかいもあった。馬と関係者に感謝したいです」

意欲あふれるトライだった。夏の中京で乗るのは自身初。重量52キロ以下での騎乗は今年2度目。気温36度の酷暑にも負けない熱き思いは、ゲートを開いてすぐ具現化された。1完歩目は遅かったが、手綱で促して前へ、なお前へ。前走までの後方待機から一転して敢行した積極策が、序盤3ハロン通過35秒4のスローペースで生きた。粘る逃げ馬を首差でとらえ、念願の初タイトルを手にした。

「スタートが得意ではないイメージがあったけど(初戦から騎乗していた)田辺さんがいろいろ教えてくれて『どんな競馬でもできる』と思って、自信を持って2番手をとりにいった」

和田勇師の決断ともマッチした。始動戦を選ぶ上で、紫苑Sも候補に挙がっていたが「(開幕週の中山は)馬場がいいので、これぐらい使った(開催4週目の)馬場の方がポジションをとれないかと思って」と中京遠征をチョイス。レース史上初の3歳牝馬Vは、緻密かつ勇敢な挑戦の成果だった。次走は未定だが、鞍上は「良くも悪くもいろいろ若い。もっともっと成長してくれたら」と伸びしろを見込む。実りの秋が待ち遠しい。【太田尚樹】

◆マピュース ▽父 マインドユアビスケッツ▽母 フィルムフランセ(シンボリクリスエス)▽牝3▽馬主 吉本雄二▽調教師 和田勇介(美浦)▽生産者 社台ファーム(北海道千歳市)▽戦績 7戦3勝▽総獲得賞金 9564万2000円▽馬名の由来 かわいい子(仏)