頼れる“マジックマン”の魔術に注目だ。セントライト記念(G2、芝2200メートル、15日=中山、3着までに菊花賞への優先出走権)の追い切りが11日、行われた。ファイアンクランツ(牡、堀)は今週から短期免許で来日のジョアン・モレイラ騎手(41=ブラジル)を背に、美浦ウッドで併せ馬。僚馬に遅れたが鞍上は以前より成長面を感じ取り、自身の手綱で皐月賞馬に導いたミュージアムマイルへ挑む。
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少し不安な追い切りに映った。美浦ウッドに現れたファイアンクランツは、グランプレジール(古馬1勝クラス)を3馬身半追走。直線ではモレイラ騎手が強めに追うが差は詰まらず、1馬身先着を許した。
ダービー(9着)以来の休み明けとはいえ迫力に欠けたが、鞍上は「前回乗ったとき(青葉賞2着)より精神の落ち着きを感じる。その分反応には時間がかかったけど、折り合いもついてギアチェンジ後の脚がよく、ゴール後もいい脚だった」とノープロブレム。堀師も「順調に仕上がり、心身のバランスが取れやすくなった。春の戦績から能力差は少ない」と期待する。
皐月賞馬が相手でも自分の競馬に徹する。今回一番の注目を集めるのはミュージアムマイル。モレイラ騎手が騎乗し、のちのダービー馬クロワデュノールを差し切った強敵だ。その最大のライバルの背中を知っている分、戦い方のイメージもつきやすいはず。「ミュージアムマイルが参戦するので、注目度は高いと思う。それでもこの馬のベストパフォーマンスを出せるように乗るだけ。プランは考えていないが、この馬で挑めるのを楽しみにしています」。マジックのタネは本番で明かされる。
今回の短期免許でも、貪欲に勝ちを求める。「(春に)G1を3つ勝てたのが、自分の中でとても大きかった。なかなか勝つことは難しいけど、いつも通り、1個でも多く勝ちたい」。今春の日本での騎乗後は、母国ブラジルを拠点に、香港や英国などで騎乗し世界を渡り歩いた。また、同郷の友人であるゴンサルベス騎手(35=アルゼンチン)が、今夏のWASJで来日し、日本初勝利を挙げたことに「彼のキャリアの積み重ねが、安定した成績につながっている。本当に良かった」と刺激を受けた。来日初週のマジックお披露目は、ファイアンクランツとともに-。始まったばかりの秋競馬を沸かせるか。【深田雄智】
◆モレイラ騎手の今春のJRA成績 3月29日から4月28日まで短期免許を取得。64鞍に騎乗し【23・12・9・20】で連対率54・7%。特に重賞はG13勝を含む8戦4勝2着2回で勝率50%、連対率75%と驚異的な勝負強さを発揮した。
◆短期免許 JRAは11日、ジョアン・モレイラ騎手に9月13日から28日までの短期免許を交付したと発表した。身元引受調教師は堀宣行師(美浦)、契約馬主は里見治氏。JRA通算712戦215勝(うち重賞17勝)。今春の来日時には高松宮記念(サトノレーヴ)、桜花賞(エンブロイダリー)、皐月賞(ミュージアムマイル)でG1・3勝を挙げた。

