村上の第1打席が最大の焦点だったが、菅野の初球が秀逸だった。内角に厳しい真っすぐ。152キロの球速からも、全力で封じようという気迫が感じられる1球だった。何より、完璧な内角球で村上を抑える、という菅野-大城の明確な意思がしっかり伝わってくるボールだった。
結果は捕邪飛。村上もしっかりスイングしている。菅野の球威が勝り、わずかに差し込まれている。村上の予想を上回る球威だったと感じた。それでも崩されない村上のスイングも力強く、紙一重の勝負だった。菅野の球威、内角ギリギリを投げきった精度の高さ、そのボールを初球から打ちにいった村上。見応えある打席だった。
第2打席はフルカウントから7球目は146キロの内角へのカットボール。これもかなりきわどいボールだった。結果は四球となったが、ここでも勝負球に内角を使い、内角を強く意識させていた。この直前に、山田に2ランを打たれている。フルカウントから7球目の144キロカットボールを運ばれた。村上に回したくないがための1発といえる。
先手を取られた巨人バッテリーだが、第2打席までの内角攻めを有効に使いながら、その後の村上の打席も意図のある組み立てで攻略していく。第3打席は2-1から外角真っすぐで左飛。第2打席の四球も、この左飛も、村上は打席の中でまったく崩れていない。その中で、内外角をしっかり使い分けていた。
菅野の内角球が後続の投手にもアドバンテージを与えた。2番手平内は第4打席で初球外角のツーシームで二ゴロに仕留めた。内角を引っ張る意識に見えた村上のスイングは、大城の術中にはまり内野ゴロに打ち取られたと映った。
第5打席に今村が内野安打を許したが、巨人は村上対策を十分に練り、申し分ない攻略を見せたといえる。エース菅野は、31日の試合も含め村上を攻略する糸口を投手陣にもたらす意識を感じさせた。やるべきことをやっている。
ただし、山田の2ラン、そして延長11回の中村の2点適時三塁打と、ヤクルト打線のしぶとさ、粘り強さは首位チームといえる。村上を抑えることが最大のテーマという位置付けだったと思うが、その中で村上の前後を打つバッターが自身の存在感を示す働きだった。
延長戦の末にヤクルト先勝で終わったが、初回から最後まで張り詰めた緊張感あふれる試合展開だった。(日刊スポーツ評論家)




