見応えのある投手戦だった。阪神西勇輝と巨人山崎伊織の両先発がともに完投したが、最後まで集中力を切らさなかった西勇に軍配が上がった。
巨人打線につけ入る隙を与えなかった。2回と3回に先頭打者を出したものの、ともに次打者を併殺に仕留めた。その後は7回1死から四球を出しただけで9回を迎えた。1死から代打の秋広に右前安打。ここで代走に重信が送られた。
説明するまでもないが、巨人サイドからすれば、なんとしても盗塁を成功させたい場面だった。しかし西勇は、けん制が抜群にうまい。そう簡単にいいスタートは切れない。盗塁を狙うとしたら、クイックモーションが甘くなったときか、遅い変化球を投げたときだろう。
梶谷への初球はチェンジアップで外角低めのボールになった。クイックのタイムは1・13秒。変化球を投げてこのタイムのクイックなら、走ってもほぼ盗塁は成功しない。最大限に警戒している証拠だった。
それでもクイックに集中していれば、失投の確率は上がる。そう思って見ていると、その後の投球はクイックより制球力を重視。カウント1-1からのシュートは1・30秒で、梶谷を打ち取った後の門脇の初球も1・30秒。平均すると1・25秒ほどだろう。
スピードの乗りにくい土のグラウンドとはいえ、これなら重信の走力であれば成功する可能性が出てくる。2死一塁、カウント0-1なら制球力を重視して投げてくる。重信はスタートを切ったが、投球は左打者の外角へのシュート。クイックは1・25秒だが、捕手がスローイングしやすい球で、坂本は二塁へストライク送球。アウトにして逃げ切りを決めた。
盗塁失敗でゲームセット。不満を感じるファンもいると思うが、盗塁を仕掛けていい状況だった。むしろ、打者と走者を絶妙な駆け引きでアウトにした阪神バッテリーを褒めるべきだろう。
巨人にとって悔やまれるのは、失点した2回の場面。ノイジーには内角を攻めてセンター前に打たれ、1死一、三塁から木浪に犠牲フライを打たれたのも内角149キロの真っすぐだった。山崎伊は打者の左右に関係なく、真ん中より内角球の被打率が高い。木浪への投球は外角を狙った球を引っかけて内角に行った逆球だった。バッターは山崎伊に対して「内角球が甘くなる」というデータがあったのだと思う。
もちろん、8回3安打無四球と好投した山崎伊を責めるつもりはない。9回を2安打2四球で抑えた西勇のピッチングが完璧だった。(日刊スポーツ評論家)




