首位争いをする巨人にとって、同一カード3連敗はなんとしても阻止しなければいけない。一方の中日にとっては、3連勝して最下位脱出への勢いをつけたいところ。そんな中、巨人は井上、中日は金丸の先発で試合開始となった。
あくまでも個人的な感想だが、どちらの投手も素晴らしい球を投げるが、それに見合った勝ち星がついてこないイメージがある。お互いに負けられない試合で、どういうピッチングをするのか? 試合の勝敗を分けるポイントはどこなのか、注目していた。
今試合の球審はストライクゾーンが狭く、並の投手なら打ち込まれていただろう。しかし、両左腕とも力のある真っすぐを投げ、制球力もよかった。ともに7回を投げたが、たった1本のソロホームランを浴びた金丸が負け、0点に抑えた井上に軍配が上がった。
ともに打てない打線をバックによく投げていた。あえて指摘するのは忍びない気がするが、今後の課題点としてあえて重箱の隅をつつかせてもらう。
金丸は2回表2死から笹原にソロを浴びた。初球に投げた甘い真っすぐを逆方向に打たれた。この場面、初対戦の投手に対してベンチからの特別な指示がなければ、打者の心理は「とりあえず真っすぐ」というスタンスで狙い球を絞るだろう。初球がボールになるのは避けたいだけに、甘くなりやすいのは分かる。しかし笹原は強打を売りにする選手で、2アウトという状況なら長打を狙ってくる。それなのに捕手の石伊は甘めに構えていたし、金丸も簡単にストライクを取りにいって痛打を浴びた。
井上は味方の守備に足を引っ張られながら、素晴らしい投球をした。ただ、6回裏無死一塁からの送りバントを簡単にさせたように見えた。この場面、先頭打者の岡林の打球をショートの泉口がジャッグル。記録はヒットだが1点差であり、送りバントをされれば得点圏でクリーンアップを迎える。初球の145キロの真っすぐが高めに浮き、簡単に決められたが「簡単にバントはさせないぞ」という意識がほしかった。
球数は金丸が100球で、井上が98球。たった1本のソロが勝負を分けた。しかし勝負事というのは、わずかな差が不運を招いたり、幸運をもたらせたりするもの。なかなか完璧な投球はできないのも理解している。その上で言わせてもらいたい。完璧な投球を完結させるのは難しくても、完璧な投球を目指すことは諦めないで続けてほしい。2人ともまだ若い投手。そういう心掛けを続けることが、長い投手生命の助けになるはずだ。(日刊スポーツ評論家)




