プロ野球番記者コラム

丸のバントに動けず…阪神西、課題は間一髪のアウト

<ニッカンスポーツ・コム/プロ野球番記者コラム>

6回裏巨人2死三塁、山本(中央)は丸のセーフティーバントで生還する。右は投手西(2019年10月13日撮影)
6回裏巨人2死三塁、山本(中央)は丸のセーフティーバントで生還する。右は投手西(2019年10月13日撮影)

一瞬のようで、とても長い時間にも思えた。阪神西勇輝投手(28)はグラウンドで膝をつくと、しばらくその場から動くことが出来なかった。

13日のクライマックスシリーズ・ファイナルステージ、巨人との第4戦。負けたら終わりの一戦で、緊迫した投手戦を繰り広げた。1-1のまま迎えた6回2死三塁。坂本勇を空振り三振に仕留めた直後だった。丸が三塁線へ意表を突くセーフティーバント。西は素早く捕球し一塁へ送球するも、わずかにそれた。

その瞬間、あおむけに倒れると、膝をついたまま座り込んだ。捕手の梅野が駆け寄るまで、西は動かなかった。「梅野と確認作業をしていた。自分のミスです。最後の最後でミスが出た。来年の課題。ギリギリのアウトを取れるようになりたいし、なるべきだと思う」。試合後は悔しさと責任を一身に背負った。

6回裏巨人2死三塁、西は丸の打球を一塁へ送球もセーフとなり失点し、そのままグラウンドへあおむけになる(2019年10月13日撮影)
6回裏巨人2死三塁、西は丸の打球を一塁へ送球もセーフとなり失点し、そのままグラウンドへあおむけになる(2019年10月13日撮影)

チームの勝利を求める責任感と、ピンチでも笑顔で鼓舞する存在感。その裏には繊細な感覚を持ち合わせる。今年の春季キャンプのブルペンでは数十球ずつに区切って、内角外角、高め低めと投げ分ける独自の調整。「こんな調整をしていた選手はなかなかいない。トップクラスの調整」と周囲を驚かせた。

現在の球界では、スパイクは底が樹脂ソールで出来た軽いものが主流だが、西はプロ入り前から皮製の底にリベットが付いたタイプを使用していた。軽量で足への負担も少ない樹脂ソールのスパイクを試そうと、春季キャンプでは1日ずつ交互に使用して感覚を確かめた。しかし、最終的に今季は従来のスパイクを使うことに決めた。「1、2カ月だけで慣らすことは難しい」と、長年染みついたグラム単位の感覚があった。

試合中、味方の攻撃の間に投手が行うキャッチボール。ほとんどの投手が外野の方向を向いて行うが、西はマウンドから見える景色と同じ、本塁の方向に向かってキャッチボールする。「外野を見て投げると錯覚するというか、芝があってフェンスもあるし、距離が取りにくい。ホームの方を見ると、ファンもいるし距離が取りやすい。打球も見えるし、デメリットは無い気がする」。プロに入って気付けば、この方法を取り入れていた。

今季はチームトップの10勝を挙げ、後半戦は11試合に登板し7勝1敗と驚異の勝率。思えば3位でCS出場を勝ち取った「奇跡の6連勝」も、西が投げた9月21日広島戦から始まった。存在は大きかった。【阪神担当 磯綾乃】

阪神西勇輝は巨人丸佳浩に投前犠打を決められて失点、しばらくグラウンドから起き上がれず、梅野隆太郎(右)が声を掛ける(2019年10月13日撮影)
阪神西勇輝は巨人丸佳浩に投前犠打を決められて失点、しばらくグラウンドから起き上がれず、梅野隆太郎(右)が声を掛ける(2019年10月13日撮影)

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