ヤクルト石川雅規投手(41)が、大記録を達成した。今季初登板の16日阪神戦。5回1死走者なしで打席に入ると、阪神藤浪の148キロ直球をたたきつけ、二塁内野安打に。これで20年連続安打とした。投手で20年以上の連続安打は史上5人目。小さな巨人が、球史に名を刻んだ。

大卒投手では初の20年連続勝利も懸かった一戦だった。投げ合った藤浪が150キロ超えの直球を連発させて力でねじ伏せる中、20年目左腕は、130キロ台前半の直球で、丁寧にコーナーを突く投球。結果的には5回2失点で敗戦投手となったが、熟練したマウンドさばきを見せた。

オープン戦では2試合に登板し、防御率30・86。開幕は2軍スタートとなった。昨季は9度目の開幕投手も務めるなど、長年ヤクルトの投手陣を引っ張ってきたが、「技術がないから打たれた。現実を受け止めて。悔しかったですけど、前を向いてやることやっていこうという風にしか思ってない」と冷静だった。

1軍の先発枠を勝ち取るために、若手たちと競ってきた。2軍では2試合に登板し、計5イニングを無失点。開幕から3週間遅れて、1軍に戻ってきた。「シーズンが終わるときに、良い結果を残せるようにという思いで調整した」と胸を張った。

チームは2年連続最下位に沈み、防御率も12球団ワーストだった。「いろんなところで投手陣と言われて、やっぱり腹立つ。現実問題、投手陣と言われてしょうがない数字は残しているので、悔しいだけじゃなくて、1軍でちゃんと数字で見返さなきゃいけない」と力を込めた。4月22日時点で10勝8敗4分けでリーグ3位。投手でチームを勝たせるため、一丸となって戦っていく。

不屈の精神ではい上がってきた。「心が折れたらやめるとき」。闘志はまだ、熱く燃えている。【ヤクルト担当=湯本勝大】

21年4月16日、阪神対ヤクルト 5回表ヤクルト1死、石川は二塁内野安打で出塁する
21年4月16日、阪神対ヤクルト 5回表ヤクルト1死、石川は二塁内野安打で出塁する