楽天オコエ瑠偉外野手(24)の“ゴン攻め”走塁が光っている。

5日のエキシビションマッチヤクルト戦。2番左翼でスタメン出場。第1打席、右翼へ強い当たりを放つと、やや右中間寄りに守っていた右翼手サンタナは、自身の左側に飛んだ打球を回り込んで捕球。その動きを見たオコエは全速力で一塁を蹴り、二塁を狙った。右翼手サンタナの“ビッタビタ”好送球でアウトとなったが、試合後に紙一重のプレーを振り返った。

「このエキシビションマッチ期間中はどれくらいでアウトになるのかを知っておくために、ギリギリ狙えるべきところはちょっと無理してでも来てくれ、という話だった。外野からの送球がちょっとでもそれたらすぐに二塁を狙う姿勢や、攻めの走塁は変えずにいきたいなと思います」。

石井GM兼監督は日頃から「走塁=盗塁ではない」と話す。走塁面の向上を図る指標として盗塁数がピックアップされやすいが、数字に残らないベースランニングの重要性を強調する。だからこそ「ネガティブなことよりも、ポジティブなことを出そうという姿勢はすごく大事。一般的には自重してしまうプレーが起きやすい状況の中、あれだけ積極的に思いを前面に出すプレーというのは大事」とオコエの積極姿勢を高く評価する。

暴走と好走のはざまでいかにリスクを負えるのか。指揮官は独特の表現で考えを表す。

「1つの道には人工芝の上に10万円。もう1つの道にはちょっとぼこぼこして落とし穴あるかもしれませんけど、宝箱にいくら入っているか分からない。どっちを選ぶかなら、僕は見えないものを取りに行きたい。リスクよりも大きいものがあるかもしれない。負けている時は(リスクの少ない)こっちを選びたがると思う。なるべくそういう風にはしたくないので」。

後半戦、しびれる場面でこそ1つ前の塁を狙えるか。積極的な走塁への意識浸透を促す意味でも、オコエの姿勢は大きい。

オコエの妹桃仁花は、東京オリンピック(五輪)のバスケットボール女子日本代表として銀メダルを獲得。決勝戦後には「自分は兄の背中を見て育った。一緒に(五輪に)出たかったけど、まだ何年もある。今度は同じ舞台で戦いたい」と話していた。オコエは2月に左手首の手術を受け、今季の大半をリハビリに費やした。それでも努力を重ね、後半戦は1軍の戦力としての働きを期待される。チームの勝利のために、そして兄としての夢をかなえるためにも、懸命に走り続ける。【楽天担当=桑原幹久】