7月末日。プロ野球界で特別な意味を持つ1日が過ぎた。シーズン中の移籍期限であり、育成契約選手にとってはシーズン中に支配下契約に上がることのできる最終期日だった。
阪神では期限直前に、高橋遥人投手(28)ら3人が支配下に復帰した。9人いた育成選手は6人に減った。故障から回復途上の2人をのぞくと、現実的に可能性があったのは新外国人2人と松原快投手(24)と福島圭音外野手(22)。松原と福島は新人。1年目の1軍デビューは消滅した。
好選手を多く抱えるチャンピオンチーム。狭き門と分かっていても、相当な思いがあったはず。畑山統括スカウトはすぐに激励に訪れた。「残念だったけど、次は秋季キャンプに呼ばれるように頑張ろう」。福島には野口恭佑外野手(24)の例も出して、背中を押した。野口は昨年、惜しくもシーズン中の昇格を見送られたが、秋季キャンプ中に支配下契約を勝ち取った。
先輩の動きも印象的だった。現在2軍にいる青柳晃洋投手(30)は松原を気にかけていた。8月に入って最初の練習で声をかけた。
「今までは結果が一番だったかもしれないけど、現実的に今年はもう1軍に上がれない。これからは自分のための練習。レベルアップを目指す期間にしよう。来年のために、今をどう過ごすかが大事だから」
自身の若手時代を思い返していた。ドラフト5位入団。エリートではないし、器用でもない。しっかり自分と向き合えたのは、4試合の登板に終わった3年目のこと。「自分はへたくそなんだと認められたから、自分で考えて練習ができました」。翌年9勝を挙げ、21年、22年の大活躍へとつながっていく。今季は苦しいシーズンを送るが、若手選手とともに汗を流し、再び1軍に呼ばれるための準備を進めている。
松原は青柳の心遣いに感謝する。「昇格した3人を見て、正直うらやましかった。でも7月31日が終わっても僕の野球は終わらない。落ち込んでいられません。スパッと切り替えられました」。簡単な道のりではないが、やるべきことは決まっている。【阪神担当=柏原誠】




