秋晴れもほおをなでる風はちょっと冷たかった。それでも優勝パレードの沿道に詰めかけたファンの熱い声援は気持ちを熱くしてくれた。
ソフトバンク王貞治球団会長は、城島CBOと松本裕とともにオープンカーに乗って手を振り続けた。苦しみながらリーグ連覇。日本シリーズでは阪神を破り、チームは5年ぶりの日本一に上り詰めた。
昨年はぶっちぎりでリーグ優勝を果たしながら、3位からCSを勝ち上がったDeNAに日本シリーズで敗退。誰よりも悔しさをあらわにしていたのは王会長だった。「敗者」となった昨年のVパレードとは感激が違った。「(沿道の応援は)すごかったね。やっぱり日本一になると大違いだよね」。グラウンドコートを着込んでファンを見つめる視線は穏やかだった。
ドーム球場に戻ってくると、会長室には戻らず、孫オーナーが着替えを終えるまで玄関口で待っていた。「オーナーはもう帰られるんだろう?」。何とも律義な王会長らしい。足早に立ち去る孫オーナーを見送っていた。
博多っ子ファンに届けた5年ぶりの日本一。ただ、満足するわけにはいかない。孫オーナーは巨人のV9を超える「V10指令」を出している。夢の数字だが、あきらめるつもりはない。「ファンの人たちはさ、今年よりはもう来年っていう気持ちになっているからね」。ソフトバンクになってCS勝ち上がりを含めた日本シリーズ4連覇(17~20年)はあるものの、ホークスのリーグ3連覇は南海時代の64~66年までさかのぼる。「工藤監督のときに日本シリーズ4連覇はあるが、リーグ(3連覇)となるとね。やっぱりシーズンを勝たないとね。CSをやり出してから、リーグの4連覇、5連覇というチームはないからね」。喜びもつかの間。王会長の視線もすでに来季に向けられている。「日本一になると、選手たちはオフが短くなるからね。また、来年、来年に向けて頑張っていきましょう」。雪辱を果たしても、さらに高みの頂は待ち構えている。




