高原のねごと

ゴールデンタイム中継増?プロ野球を見直す機会に

ナイターのゴールデンタイム中継が増えるかも? 6月19日の開幕へ向けて期待の高まるプロ野球について、水面下で放送各局と球団側の駆け引きが行われつつある。

コロナ禍の現在、地上波を中心にするテレビ各局はコンテンツに悩んでいる。再放送が多く、新しく制作しても、いわゆる「リモート画面」が多く、正直、元気が感じられない。

スポーツ中心のケーブルテレビでも過去の中継を流すなど苦戦しているようだ。アーカイブ的な意味で興味を引かれる部分はあるのだが、これだけ長引くと苦しい。

「旅番組、ロケ、食事しながらのおしゃべりなどバラエティーに欠かせないことが何もできない。緊急事態宣言が解除されても、すぐに以前のようには制作できないですしね」。あるテレビ局の幹部はそう話す。

そこでクローズアップされるのがプロ野球中継だ。25日に東京などの緊急事態宣言が解除されれば、同じ日に予定される12球団代表者会議で「6月19日開幕」が決まる可能性が高い。

当初は無観客試合になる見込みだが生のプロ野球はこれまで以上に注目されるはず。普段から球場に行くファンはもちろん、再放送に飽きた視聴者が「見てみるか」とチャンネルを合わせる可能性は高い。

昨今のテレビ番組はバラエティー全盛といえる。制作費がさほどかからないわりに視聴率が取れ、スポンサーもつくことが大きな理由だ。逆にプロ野球中継は放映権料などの経費が高くつき、赤字になることも多いという。

かつて巨人の主催試合は必ずと言っていいほど日本テレビ系で全国中継されていた。関東地方以外でも巨人ファンが多かったのは「ジャイアンツ」のユニホームを見る機会に比例してのことだろう。しかし今はほとんど見ることはない。

同様に人気の高い阪神はサンテレビ、ABCテレビなどを中心に今でも地上波で見られることは多い。それでも全試合を放送終了まで…となるとケーブルテレビ、インターネット中継などに頼るしかない。現在、もっとも多く地上波でファンがテレビ観戦できるのは独特の文化を持つ広島ではないだろうか。

そんな流れが今回のコロナ禍で変わるかもしれない。プロ野球がコンテンツとして人気になる可能性が浮上しているからだ。別の局関係者は「中継枠を取り合いになることがあるかもしれません」と明かす。

そこで起こるのが局側と球団との駆け引きだ。一般的に放映権は年間で契約する。しかし今回、開幕できても試合数が昨季の143試合から減ることは確実。局側は当初に決定していた価格から減額を求める可能性がある。

同時に球団にすれば、逆に視聴率アップが期待できるため、その価値は高まるのでは、と主張するはず。実際にある球団の営業関係者は「値上げとかは分かりませんが、これまで以上に価値があるものとして交渉することにはなるでしょうね」と話す。

しかし社会が通常に戻るにつれて、テレビ番組の制作状況が戻っていくのも当然のこと。試合中継の価値が上がったとしても、それがいつまで続くかということもポイントになる。シビアな攻防になりそうだ。

そんなビジネスの話はファンには関係がないとして、連日、地上波でナイターが放送されるような状況になれば「昭和」に戻ったような気もするはず。中高年には懐かしい、若者にはひょっとしてプロ野球を見直す機会になるかもしれない。

いずれにしても「国民的娯楽」としてとらえられてきたプロ野球がプレー、試合内容などでその魅力を再びアピールしなければならないのは言うまでもない。「ピンチをチャンスに」とはそういうことだろう。【編集委員・高原寿夫】

取材生活30年を超える古だぬき記者。吉本興業から宝塚歌劇団、あるいはヤバい人たちの取材から始まり、プロ野球ではイチロー日本一(96年)星野阪神V(03年)緒方広島連覇(17年)などの瞬間に立ち会った。日刊スポーツ大阪本社編集委員。

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