夏の甲子園は慶応の優勝で幕を閉じた。今年も暑かった。球児やスタンドの熱気に押され、屋外の記者席で4試合まるまる見ていると気を失いそうになった。
ただコロナ明け甲子園はありがたいことばかりだった。1階の取材エリアは空調ばっちり。集中力を切らすことなく取材に専念できた。同じフロアにある関係者食堂にも出入り自由になった。汗まみれでアルプス席を駆け回る後輩たちを横目に、こっそりアイスコーヒーをすすったことも…。
この食堂には多くの野球関係者も出入りする。大会中、アイスコーヒーを片手に興味深い話をいろいろ聞けた。たとえば選手として昭和に活躍し、監督として平成、令和を戦ってきた高校野球の名監督。テレビ中継を見ながらぽつりと言った。「いろいろなチームが出てきましたね。1つだけ断言できます。これからは、監督が押さえつけるような野球をやっているチームは勝てない(優勝できない)でしょう。昭和のままの野球では、とても太刀打ちできません」。数日後、自主性を旗印とした慶応が優勝したのも偶然ではないのかもしれない。
情報化の時代だ。選手が指導者より多くの「知識」を持っていることもある。しかし、別の名監督さんによると「知識を持っているだけで、使い方が分からない、間違っていることが多い」のだそうだ。現代の指導者には、選手にフィットする情報の生かし方を、一緒になって探すような役割が求められるのだという。令和の高校野球のめまぐるしい変化を、これからも追いかけたい。【柏原誠】




