全日本大学野球選手権(6月9日開幕)の出場校・近大(関西学生)に、頼もしい下級生の主務がいる。昨秋のリーグ戦後に、1年生ながら就任した稲葉陽士(はると)主務(2年)は初の全国大会に臨む。
チームは阪神佐藤輝明内野手(26)以来のNPB入りへ、ドラフト候補の勝田成内野手(4年=関大北陽)、阪上翔也外野手(4年=神戸国際大付)、野間翔一郎外野手(4年=大阪桐蔭)を擁する。試合や取材対応で秋まで大忙しの予感だ。「指導者と選手をつなぐ役割として、信頼される主務になりたい。1人のマネジャーとしても、我を捨てて何よりもチームを優先する憧れの姉のように、頑張ります」。
大阪・堺市出身。控えの内野手だった北陸(福井)では23年春夏に甲子園に出場。春には代打で聖地の土を初めて踏み、夏の初戦は覇者・慶応(神奈川)と対戦した。卒業後は選手以外の立ち位置で野球に携わることを模索。姉さくらさんが昨年までマネジャーを務めた近大に進学した。
同大学は4年生マネジャーが不在の25年度を見越して、マネジャー陣の育成が急務だった。そこで、1年冬に新たな主務として白羽の矢が立った。「初めてのことが多く、戸惑ったり悩むことがありました」。
仕事は多岐にわたる。練習試合の日程調整や来客対応、部費の管理や大学への提出物の申請など。山のようなタスクを日々こなす。 「4年生の選手でも気軽に話せる方が多く、とても助けられています」。今春のリーグ最終戦後、選手は各自で記念撮影を行う中、発注する用具の採寸のため、様子を見ながら選手をつかまえていた。初々しさより、キビキビと仕事をこなしている印象が強い。
社会人野球のパナソニックで選手5年、9年マネジャー経験がある指揮官も一目の信頼を置く。光元一洋監督(50)はこう語る。「稲葉はマネジャーとして志があり、その姿勢はチームマネジメントでも大きく作用します。(下級生ながら)任せたいと決めました。まだ未熟な部分はありますが、今後連盟を代表する人材になってほしいと期待しています」。
今大会終了後には、20日からわかさスタジアム京都で関西の大学野球各5連盟が参戦する第32回関西オールスター5リーグ対抗戦が始まる。光元監督が関西学生の連盟選抜の監督を務め、そこでも稲葉さんは主務としてベンチ入りする予定だ。
指揮官が期待する2年生主務は試行錯誤の末に、さらに視野を広げてチームを支えていく。【中島麗】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)




