鳥谷敬の去就が注目される中、30日付日刊スポーツ(大阪本社版)の1面は衝撃的だったかもしれない。「鳥谷 戦力外。今季限り退団へ」。我田引水で恐縮だけど取材合戦の続く阪神報道にあって1紙でこれだけ報じるのはめずらしい。

それを受け、この日朝から甲子園周辺、阪神電鉄周辺は大騒ぎだった。取材に応じたフロントも鳥谷自身も核心には触れないが報道内容を否定しない。それが内容が当を得ているからとしか言いようがない。

そんな少し異様なムードで迎えた巨人戦。グラウンドコンディションを考え、試合前の練習は室内で行われた。注目の鳥谷も当然、参加した阪神の練習が終わる。次は巨人の番だ。

ここでお気に入りの選手を待っていた。このコラムにも登場する巨人の坂本勇人である。打撃はいよいよ勝負強くなってきた。もはや日本プロ野球の第一人者と言っても誰も否定しないだろう。守備位置は遊撃手。このタイミングだけに話を聞いてみたい。

こんにちは。坂本選手。待ってたで。鳥谷のことについてどう思ってます。

少々ぶしつけな話題に坂本は困惑する。「そんなこと…。今の段階でコメントできるわけないですやん」。もっともな話だ。それでは鳥谷について、これまでどう思っていたのか。

「そうですね。うん。ショートであれだけ試合に出続ける大変さは分かっているつもりなんで。それはもう尊敬しかないですね」。ストレッチ代わりの正座をし、じっくり考えながら、そんな話をしてくれた。

ときには体を痛め、大きなプレッシャーを感じながら巨人の遊撃を守り続けている坂本だからこそ、分かる部分はあるのだろう。言葉に重みを感じた。

中日の京田陽太もそうだったが鳥谷はプロで遊撃を守る人間がリスペクトする存在だ。阪神球団も対応に神経を使う。そんな男が今季限りで阪神を退団する可能性が高くなった。

そうなれば望むのはこういうことだ。少しでもタテジマの鳥谷を見ておきたい。シーズンはあと22試合。クライマックス・シリーズ進出を決めれば、少しだけそれは伸びる。

「鳥谷退団」を信じたくない虎党にしても、その気持ちは同じだろう。そのためにも阪神はAクラス入りを果たす必要がある。広島が負けたが阪神も敗戦。これでは上位に迫れない。巨人相手にここで踏ん張れ。(敬称略)