阪神OBの藤川球児が甲子園に来ていた。NHKの解説だ。記者席で「おめでとさん」「おめでとうございます」と会話を交わす。球児は21日が誕生日、こちらが22日。現役時代からの“お決まり”だ。

そんなどうでもいいことからも分かるように球児は周囲に気配りのできる人間である。それは助っ人選手たちにも発揮されていた。外国人投手たちを伴って食事に出かける姿を目撃したこともある。

後日「やさしいなあ」と声を掛けると「ボクも米国ではいろいろと世話してもらいましたから」と言った。「外国人に遠慮はいらない。配慮はしてやれ」。そう言ったのは闘将・星野仙一だ。球児の様子にそんなことを思い浮かべたことが記憶に残っている。

好調DeNAに逆転勝利したこの試合。大山悠輔、佐藤輝明と主軸2人に本塁打が飛び出し、虎党を喜ばせた。そこに加え、新加入のロドリゲスも2点適時打。今季、これ以上ないぐらいスカッとしたゲームだったのではないか。

そんな中、細かいけれど「いいな」と思ったのが梅野隆太郎の盗塁だ。7回、ロドリゲスが適時打を打つ直前の1死一、三塁。1ボール2ストライクからの4球目、宮国椋丞の変化球がワンバウンドになったときに判断よくスタートし、一走・梅野が二塁を陥れた。これで1死二、三塁。その後でロドリゲスが打ったのだ。

結果的に右中間を深々と破る二塁打だったので一塁からでもかえってこられたはず。だが一、三塁なら併殺打のおそれもあった。それがあの盗塁で消えている。もちろん結果は分からないけれど、タテジマ初打席が安打になるか併殺打になるかは大きく違う。

それが梅野からの“配慮”だったとまでは言わないけれどロドリゲスにしてもリラックスできた部分はあったはず。何より常に先の塁を狙う姿勢は重要だ。いつも本塁打が出るとは限らない。負けたとはいえDeNAは9回、内野ゴロ2つで2点をかえしてきた。このしぶとさは23日以降も要警戒だと思う。

7回の梅野はフルカウントから四球を選んで出塁していた。3回にはそれまで3者凡退を2イニング続けた先発・坂本裕哉からチーム初安打を放って少し流れを変えている。申し訳ないけれど捕逸が2つ出たDeNAに比べても、やはり安定した捕手がいるのは落ち着く。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対DeNA 7回裏阪神1死一、三塁、代打のロドリゲスは右中間に適時2点二塁打を放つ(撮影・前岡正明)
阪神対DeNA 7回裏阪神1死一、三塁、代打のロドリゲスは右中間に適時2点二塁打を放つ(撮影・前岡正明)