阪神に“異変”が起こっている。と書けば大げさだが内部では話題に上っているようだ。観客数の話である。この日、甲子園に詰めかけた観客は4万32人。前日19日が4万49人。18日が4万152人と3連戦すべてで4万人を超えた。

常に満員のイメージがある甲子園の阪神戦だが、もちろん、そんなはずはない。空席のある試合も存在する。平日のナイター、特にまだ肌寒い4月のそれは、例年「入らない」とされているのだ。

それがどうだ。火曜からの3連戦すべて4万超え。それだけではない。ヤクルトが相手だった今月7日の甲子園開幕戦は金曜で4万2465人。土、日は言うまでもなく8日が4万2850人。9日が4万2501人と、3試合とも余裕の4万超え。甲子園での開催はここまですべて4万人を超えている。

京セラドーム大阪での開幕3連戦は収容人員数の関係で3万6000人台だったが3試合とも満員御礼。主催9試合で常に大入りが続くのだ。

「7日の甲子園開幕戦はともかく、この広島戦は本当によく入りましたね。平日のナイター、それも4月でこれだけ入るのはちょっと考えられない」

阪神球団の営業関係者はそう話す。もちろん背景には地道な営業活動がある。黙っていても客が来ると言うことはなく、さまざまなセールス展開が実を結んでいるのは事実だ。

それでもこの勢いには驚く。理由は複数あっても、やはり、そこにある大きなものは「期待」ではないか。もちろん復帰した指揮官・岡田彰布に対してのものだ。15年ぶり復帰はめずらしいが、それを待望していた人たちも少なくなかったということだ。

岡田なら-。そんな思いで熱い視線を送っている虎党は中高年を中心に多いだろう。そこに加え「1点を大事にする守りの野球」を掲げるスタイルがある。これが結果的に接戦を導いており、野球としても面白いゲームになっている面はあるかもしれない。

「1つ負けて、おまえ、お通夜みたいになってなあ」。苦笑しながら歩く敗戦後の岡田に聞いてみる。お客さん、入ってまっせ。

「そんなん知ってるよ。もうけさせてるよ。何かの形でかえってくるやろ。そんなん」。岡田の言う“何かの形”がアレを達成してのボーナスならナインも虎党も最高だけど。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)