この試合は地上波放送でテレビ大阪が実況していた。グラウンドを見ながら横目でモニターを眺めていると「こっちも福谷か」と思う。OB鳥谷敬(日刊スポーツ評論家)らを解説に招いての実況アナウンサーは福谷清志だった。中日の先発投手は福谷浩司。福谷・福谷の取り合わせである。

「そんなに多くない名字同士みたいなので。福谷投手はよく話をしてくれるんです。キャンプ取材などで『福谷さん、お疲れさまです』と声を掛けると『こんにちは、福谷さん』という感じで。彼も苦労して復活してきた投手なので応援したい気持ちはありますがこちらは『ナマ虎スタジアム』。阪神応援が基本なので難しいですね」

実況後の福谷は真面目に話してくれた。思い出すのは先日のヤクルト戦である。阪神・村上頌樹とヤクルト村上宗隆の対決をサンテレビのアナウンサー・村上昂輝が実況していた。

その反応も記事になっていたが個人的に感じたのは「村上対決」の場合、投打のどちらに“効き目”があるのかということだ。結果的には投手の方によかった。そして、この日もアナウンサーと同じ名字の投手が好投したのである。

だからどうした、アナウンサーの名前で選手に効き目とかあるかい、と言われそうだ。その通りである。完敗に頭がボーッとしてしまい、ラチもないことを書いてしまった。正直、勝つ気満々で甲子園に来たのに、この敗戦である。

近年、甲子園での中日戦はとても勝率がいい。立浪和義が新しく指揮官になった昨季の中日を相手に甲子園10試合で実に9勝1敗という戦績。21年も同じく10試合で7勝2敗1分けと大きく勝ち越している。反対に敵地バンテリンドームではなかなか勝てない。今季も前回対決で1勝2敗と負け越している。

そのリベンジとなるはずの甲子園でいきなり負けてしまったのは、結構、痛いかもしれない。試合前まで貯金3で迎えた阪神、中日以外にはすべて勝ち越している。中日の1勝2敗だけが「借金」だったのだが、それを返すべき甲子園決戦で黒星スタートはうれしくないのだ。

失礼ながら最下位・中日に負け越している球団は他にない。もちろんまだ始まったばかり。それでも「横浜スタジアム・アレルギー」のある阪神、そこに加えて新たな苦手意識が生まれるのは避けたい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)