横浜スタジアムは「優勝決定戦か」というようなムードだった。そこで阪神は今季初となる同一カード3連敗を喫し、首位転落。交流戦終盤から含め、これも今季初の5連敗だ。そもそも2・5ゲーム差で迎えた直接対決3連戦で2位が3連勝し、上に出るという光景もありそうで、そうはないケースである。

そこに加え、ショッキングな状況も生まれた。佐藤輝明の2軍行きだ。連敗を喫した24日夜「テル2軍」の情報をキャッチした日刊スポーツ虎番は新横浜駅に記者を配置。ファームの遠征先・名古屋へ向かう新幹線に乗る佐藤輝をキャッチしていた。

開幕から絶好調な時期はなく、なんだかんだ言いながらやってきた佐藤輝。だがここに来てタイミングの合わない打撃、特にストレートをはじき返せない状況を受け、指揮官・岡田彰布が断を下した格好だ。緊急事態的な空気も漂う。

もちろん佐藤輝に関しては鍛え直して1軍復帰を待つしかないがチームの不調と重ねって嫌なムードは確かだ。虎党の中にも「お先真っ暗やん」と感じている向きもいるかもしれない。

しかし少しだけ光明というか期待する部分もこの日は見えた気がするのだ。若手の起用である。この試合、ベンチはドラフト1位の森下翔太と、20歳の前川右京を同時にスタメンに並べた。大リーグから鳴り物入り入団のDeNAバウアーを相手に、である。

前川は5回に反撃の適時打を放つ活躍。森下は7回2死満塁の好機で見逃し三振に倒れるなど大きな貢献はできなかった。それでも2人が活躍する近未来を感じられたかもしれない。

独断と偏見で言わせてもらえば岡田は「失敗してもいいから若手を育てる」的な考えにはとらわれていないと思う。それより「若いヤツらで勝負する」という感覚に近いはず。どこまで行っても、先に来るのは勝負なのだ。

「そうだな。でも、まだまだ力不足よ」。ヘッドコーチの平田勝男は2人の起用についてそう言った。それは事実だ。それでもこんな選手がスタメンで戦うのが楽しいと感じた。外国人頼み、ベテラン中心だった時代とは違う。それを老練な指揮官が起用しているのも味があるのだ。

まだシーズンは半分未満。27日にDeNAが負けて阪神が勝てば首位復帰だ。落ち込む気持ちを抑え、ここはじっくり構えたい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

DeNA対阪神 6回表阪神無死、三振に倒れた森下(撮影・藤尾明華)
DeNA対阪神 6回表阪神無死、三振に倒れた森下(撮影・藤尾明華)