「勝敗の分岐点」は4回の攻防だったのではないか。阪神が1点リードしていた4回の守備だ。好調オースティンの適時打で同点にされた。なお1死一、二塁。ここで牧秀悟にも中前に適時打を許す。これで逆転を許した直後だった。

一走・オースティンが三塁を強引に狙ったのである。これを近本光司の送球を木浪聖也がカット、佐藤輝明までボールが渡り、刺したのだ。これで2死一塁となり、苦しんでいた先発・青柳晃洋は後続を断った。

もしもオースティンが二塁に止まっていれば1死一、二塁。青柳はさらに苦しんでいたはずだ。ハッキリ言って、この走塁に阪神は助けられたと思う。

そして、その裏だ。阪神は1死一塁から木浪の右前打で一走・井上広大が三塁へ懸命に走った。これで1死一、三塁。この状況がつくれたことで青柳のセーフティー・スクイズも可能になった。これで井上が生還。追いつくことにつながっていったのである。DeNA側からリクエストが要求される微妙なプレーにはなったが結果として阪神は同点にできた。

「(オースティンが)走ったことには、正直、びっくりしました。でも打球をどこに飛ぶかを見て、木浪がカットの位置に入っていたし、しっかりとサードに投げることができたから刺せたんです。なにより井上の走塁がよかった。春からずっと練習してきた成果が出たと思います」

外野守備走塁コーチ・筒井壮はそう振り返った。井上は本塁へ必死の滑り込みも見せたし、打撃が期待されているが1軍選手として、しっかりした走塁もできた形。筒井もそれに喜んだのだろう。

それにしても大きい勝利だ。失礼ながら、試合前はかなり苦しいと思っていた。相手先発は「32連続QS男」の東克樹だ。対してこちらは今季ここまで1勝の青柳。強打のDeNA打線相手に苦しい試合展開になることを予想していた。

フタを開けてみれば、この圧勝ぶり。こうなると神宮の3戦目に負け「そんな、全部、勝たれへんて」と前向きに話した岡田の言葉が効いてくる。「できれば3連勝、最低でも勝ち越し」を狙う3連戦は初戦を落とすと意気消沈だ。

手応えを聞かれた指揮官・岡田彰布は「手応えないよ、まだまだな」。それでも運命の甲子園7連戦、その初戦の快勝に表情は柔らかだった。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対DeNA 7回表DeNA無死二、三塁、岡田監督(左から2人目)は宮崎の右飛併殺に手をたたいて喜ぶ。手前はタッチアップでアウトとなった三走オースティン(撮影・上山淳一)
阪神対DeNA 7回表DeNA無死二、三塁、岡田監督(左から2人目)は宮崎の右飛併殺に手をたたいて喜ぶ。手前はタッチアップでアウトとなった三走オースティン(撮影・上山淳一)