首位・阪神にとっては勝ちに等しいドローだろう。もっとスカッとした試合ができればいうことはないが相手もプロ。それも思い切って起用した若手が期待以上の働きをしたという意味で大きかったと思う。

11日の中日戦(甲子園)で最近、すっかり遊撃の定位置についていた小幡竜平が途中で退いた。ここにきて打撃が上向いており、その日もそこまで2安打。それだけに「これは何かアクシデントだろう」と感じたのである。

翌12日になって「左下肢の軽度の筋挫傷」との診断を球団が発表。指揮官・藤川球児も「長引くよりも1度登録を外して、という判断になりました。筋肉のことなので無理してやるとシーズン全般に対して難しくなってくることは考えられる」とコメントした。同日、小幡の出場選手登録が抹消されている。

この時点で虎党だけでなく、大方の野球ファンが次の試合の遊撃手として予想したのは開幕からレギュラーを務めていた木浪聖也の復帰だろう。正直、こちらもそう思っていた。

しかし、この日のスタメンは高寺望夢。しかも普段は前川右京が打つことが多い6番という打順での登場である。同時に8番左翼ではこれも若い中川勇斗がスタメン出場。昨季までは見られなかったフレッシュなオーダーとなった。

故障者が出ている他球団でも若手の起用は相次いでいる。日刊スポーツの読者ならご存じだろうがこの現象について前日、広島3連覇監督の緒方孝市(日刊スポーツ評論家)が「今週の展望」の中で触れていた。

「(この時期の若手起用には)どういう意味があるか。もちろん勝つために起用しているのだが、同時に長いシーズンを見据えて戦力を厚くしたいという思いも強いからだ」-。

そう考えれば、この起用も納得がいく。木浪を使うのはいつでもできる。だが小幡の故障が長引いたとして木浪の控えはどうする…という問題も出てくるのだ。次の備え、先を考えるのは指揮官の仕事だ。

「まだまだ戦っていける選手が必要だし、まだまだ長いんでね」。球児も先の長いシーズンを見据え、そういう言い方をした。

当然だが目の前の勝敗も重要だし、同時に若手に経験も積ませたい。その兼ね合いが大事だ。そう思えば、この日、高寺が結果を出したのはチームにとってよかったはずだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

DeNA対阪神 9回表阪神2死、右越えソロ本塁打を放つ高寺(撮影・垰建太)
DeNA対阪神 9回表阪神2死、右越えソロ本塁打を放つ高寺(撮影・垰建太)
DeNA対阪神 9回表阪神2死、右越えソロ本塁打を放ち驚き交じりの笑顔を見せる高寺(撮影・垰建太)
DeNA対阪神 9回表阪神2死、右越えソロ本塁打を放ち驚き交じりの笑顔を見せる高寺(撮影・垰建太)
DeNA対阪神 9回表阪神2死、右越えソロ本塁打を放ちナインの出迎えを受ける高寺(撮影・垰建太)
DeNA対阪神 9回表阪神2死、右越えソロ本塁打を放ちナインの出迎えを受ける高寺(撮影・垰建太)