少し前、指揮官・藤川球児が雑談でこんなことを言っていた。「(巨人の)マルティネスの年俸がいくらかってことですよ。岩崎(優)はどうなんですか?」。そんな言い方で岩崎の貢献度を強調していた。
ちなみにマルティネスは12億2000万円で、岩崎は2億円。6倍以上である。推定年俸だが確かにそう思えば、岩崎は十分な仕事をしていると言えよう。その岩崎が登録抹消された。
「(試合で投げなくても)実はブルペンでつくっているケースが非常にあって。少しハードになっていたところで腰の方に疲労が出たので、ここはあえて。本人は戦う気満々でしたけど『そこはちょっとこっちに時間をくれ』と。本人も理解をしてくれて」
快勝後、球児はそう説明した。前日の勝利後、9回に失点した岩崎に寄り添いながら何ごとか話していたので、そのときから考えていたのか。自身もクローザーとしての経験が豊富な指揮官ならではの深謀遠慮だと思う。
この日は先発・才木浩人が6回1失点で降りた後、湯浅京己からドリス、そして桐敷拓馬とつなぎ、ヤクルト打線をその1点だけで抑えた。実際にそうなれば、また違うのだろうが誰が代役でもいける、という感じだ。だからこそ岩崎を休ませられるとも言える。
岩崎不在の不安をまったく感じさせなかったそんな試合で、唯一、ヒヤッとしたのは坂本誠志郎が死球を食らった場面だ。8回2死一、三塁でシュートを得意とする木沢尚文の投球が2球連続で抜け、その2球目が左手付近に当たった。
1球目が頭部付近に抜けたときに一瞬、木沢に厳しい視線を向けていたし、続けて当たった際はムッとした表情を浮かべた。温厚な坂本にすれば、めずらしいことだと思う。本人はそうは言わないだろうが、現在のチームにおいて坂本の存在はきわめて大きい。ここで坂本に万が一のことがあれば、緊急事態なのだ。
坂本だけではない。近本光司も中野拓夢も森下翔太も佐藤輝明らも同じだ。ここまで来て、こわいのは主力の故障、ケガなのである。ここまで12球団の中でも、もっとも順調に来ているだけに、余計、そう思う。
不測の事態、アクシデントは気をつけていても起こるときは起こる。それでもチームが絶好調だからこそ、いよいよ1球に集中してプレーしてほしい。そう思うのである。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




