全国高校野球選手権大会(8月6日開幕、甲子園)埼玉大会が10日、開幕した。今年から埼玉大会は、熱中症対策として3イニングごとにグラウンド整備を行う。開智は逆転された直後の3回終了後の整備中に緊急ミーティングを行い、8-7の逆転で新座総合技術を破った。

 勝負の分かれ目はグラウンド整備中に訪れた。3-4と逆転されて嫌な雰囲気が漂う3回終了後。整備開始とほぼ同時に、開智の篠崎優監督(56)がナインを集めた。「これまでやってきたことを落ち着いてやろう」と促すと、主将の横山敦哉内野手(3年)が「ミスが多い。焦らないでいつも通りやろう」と仲間に冷静さを求めた。

 3回まで被安打5だけでなく、パスボール、エラー、練習試合でもやったことがないボークでも失点。完全に負けパターンだったが、約4分の整備がポイントとなった。「2回長めのミーティングができる。良かった気がする」と篠崎監督はわずかに笑顔を見せた。新座総合技術も練習試合では同様の整備をするなど対策してきたが、流れを引き寄せたのは開智だった。4回は無得点も5回に4安打を集め4点を奪い逆転。粘る相手を振り切った。

 埼玉県高野連は、今年から3回ごとにグラウンド整備を行うことを決めた。目的は、選手、応援団、観客らの熱中症予防だ。12年に上尾市民球場で8人、13年は川越初雁球場で4人、市営浦和球場で5人が同じ日に搬送された。基本はベンチ外の選手が整備するが、20人に満たずベンチ入りの選手が行う際は、整備よりも休憩を優先させることも徹底した。

 この日の最高気温は30・8度。前日の同22度から急上昇したが、気分が悪くなったのは観客2人だけ。県高野連関係者は「効果は十分あった」と話した。

 開智にとっても小刻みな整備は吉と出た。前日9日までテスト期間中で最後の全体練習は6月30日。放課後に練習出来ないとなれば自主的に朝練を行い、足並みをそろえた。そのかいあって、3回終了後のミーティングで瞬時に切り替えられた。新ルールを味方につけ、最高の開幕戦とした。【高橋悟史】