朝霞(埼玉)の田頭(でんどう)大希投手(3年)が、素知らぬ顔で無安打無得点試合を達成した。打者29人。塁に出したのは1回と7回の死球2人だけ。ざわつく会場を横目に、116球を投げ切れたのには理由があった。「(記録は)最後まで知らなかったです。(試合終了の)整列の時に中野大輝捕手(3年)に教えられてようやく」。中野やチームメートは気づいていたが、あえて口にしなかった。宮川浩之監督(51)も「俺も試合が終わってから聞かされたんだから。勝つのに精いっぱいだったよ」と笑った。
1-0という接戦が、大記録を忘れさせた。先発でいけるところまでいき、エース木村拓義投手(3年)に継投するプランだった。ノーヒットノーランどころか「初完封です」。中野は試合中盤に気づいていたというが、田頭には「強く腕を振ってインコースへ」とシンプルな指示にとどめた。
中学までは内野手。高校に入ってから投手に転向した。アンダーに近い独特のサイドスローに固まったのは1年生の秋ごろだった。今井真一部長(49)と話し合いながら、フォームを固めた。今井部長は「もっとサイド気味のほうがいいんじゃないか、と言ったことはあるけど、本人がしっくり来るのが今の投げ方」と矯正はしなかった。
2死球が悔やまれるが、田頭は「攻めた結果なので」と意に介さなかった。無安打無得点試合は、埼玉県大会史上46人目の偉業。背番号10の男が大仕事をやってのけた。
◆田頭大希(でんどう・だいき)1997年(平9)8月9日、埼玉県生まれ。ふじみ野市大井中から朝霞高校へ。父親は埼玉県出身。名字のルーツは現在の岩手県の一部である陸中国岩手郡田頭村といわれる。176センチ、65キロ。右投げ、右打ち。


