仙台育英(宮城3位)の5番杉山拓海外野手(3年)が2安打2打点と復調し、チームの2年連続4強入りに貢献した。

 4回1死三塁から先制の右犠飛。同点の6回1死三塁では右前に決勝打を放ち、8回コールド勝ちの伏線になった。「県大会で全然打てなくて、自分で考え込んでしまって。基本に戻って右方向に打ちました」。左腕の外角の速球を、お手本通りに流し打った。

 センバツから5番を任されているが、宮城県大会の不振などもあり、この日の朝、佐々木順一朗監督(57)に「ボールに集中していない。その原因はなんなんだ」などと叱責(しっせき)され「たくましさがなくなった」とも言われたという。

 結果ばかりを求めていた杉山に、佐々木監督の言葉が強く響いた。それが打撃の基本を思い出させた。同監督は「これがいいきっかけになってくれれば」と安堵(あんど)した。8回には、あまり当たりの良くない打球が三塁線を破る二塁打になった。球運も味方し始めたが「いい気になることで、落ちていくのは一瞬、と先生(佐々木監督)から言われている」と、あらためて気を引き締めた。

 父賢人氏(48=台湾ラミゴコーチ)は、かつて西武などでプレーした左腕で、93年にはパ・リーグ新人王に輝いた。丸顔から「アンパンマン」と呼ばれて親しまれた。最近はLINEで連絡を取っていないという杉山は「今日は報告しようと思う」。少し安心した表情を見せた。