大阪桐蔭が、まさかの結末で史上初となる2度目の春夏連覇を逃した。1点リードの9回2死一、二塁、遊ゴロでゲームセットと思われた瞬間、一塁手の中川がベースを踏めず、失策で満塁。仙台育英(宮城)馬目郁也内野手(3年)のサヨナラ打で終止符が打たれた。

 大阪桐蔭の勝利を誰もが確信したはずだ。1点リードの9回裏2死一、二塁で遊撃への平凡なゴロ。ショート泉口がさばき、一塁手中川に送球。余裕でアウトのタイミング。無失点に抑えていた柿木は笑顔でグラブをたたき、ベンチからは控え選手もグラウンドへ。だが、判定は「セーフ」。中川の右足が一塁に着いていなかった。これで2死満塁。湧き上がるざわめき。気付くと仙台育英アルプス席だけでなく、甲子園の一般観客までもがタオルを回していた。「怖くて、恐ろしくなった」(中川)。まるでアウェーの雰囲気の中、最後は柿木がサヨナラ打を許し、春夏連覇が消えた。

 中川は試合後、必死に涙をこらえた。「踏み直してアウトのつもりだったが、審判がセーフと言えばセーフです。あと1アウトだと思って焦ってしまった。3年生に申し訳ない」。7回の守備中には相手打者走者の左足が、中川の右足に当たり負傷する不運もあった。試合後の取材では大会本部の勧めで途中から座り、ナインより先に1人だけ車いすで甲子園を去った。それでも影響を問われると「ないです」と、言い訳はしなかった。