投打のかみ合いを見せた履正社(大阪)が、センバツ4強の明石商(兵庫)との近畿勢対決を制し、初の日本一へあと1勝と近づいた。

2年生右腕が大仕事をやってのけた。大阪大会5回戦の岸和田戦で参考記録ながら、ノーヒットノーランを達成した岩崎峻典投手が今大会初先発。初回、来田涼斗外野手(2年)に先頭打者弾を浴びる立ち上がりとなったが、以降は「低めを意識。内野ゴロと三振に抑えられた。守備も良くてまわりのおかげです」。カットボールやスライダーがさえ、2回には、先頭打者の5球目に自己最速の145キロをマークし、3者連続三振。9回6安打10奪三振で完投勝利した。

エース直伝のカットボールが武器。岩崎が「憧れ」という背番号1の清水大成投手(3年)の得意球もカットボール。昨冬、自ら「カットボール教えてください」と“弟子入り”。「抜く感じじゃなくて(指に)かける感じ」というアドバイスを基に猛練習。自分の決め球へと磨き上げた。師匠に当たる清水は「素晴らしかったです。(温存に)ありがたいです」と弟子の活躍を喜んだ。

岡田龍生監督(58)は「300点あげてもいい。6月くらいの段階ではこうなるとは夢にも思わなかった」と急成長を手放しでほめた。

打線は13安打を放ち、ここまで5戦連続2桁安打。「できすぎですね。決勝だからと言ってどうこうはない。今まで積み重ねてきたものを思い切って出せる環境を整えてあげたい」。1922年の創部から97年。悲願の初優勝が近づいた。