<高校野球長野大会:上田西7-6松商学園>◇27日◇決勝◇長野オリンピックスタジアム
高校野球のドラマは、勝った者にだけ生まれているわけではない。日刊スポーツでは今夏、随時連載「君がらんまん」で、勝者だけでなく敗者にもスポットを当てた物語をお届けする。
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松商学園の岩下一磨マネジャー(3年)が昨秋大会後、まとまりに欠けていたチームに絆を取り戻した。
入学後は捕手としてプレーしていたものの、昨年6月に左膝を負傷。手術を経て復帰を模索したが、痛みが抜けず今春からマネジャーに転向した。「けがなら仕方がない。自分のできることをやろう」と決意し、選手同士では言いにくい厳しい声かけにも意欲的に取り組んだ。毎試合、岩下が円陣で声出しを行った。「選手たちの力を引き出したい」と、リラックスできるユーモアのある言葉を発信するムードメーカーぶりだ。
地区予選で敗退した春季大会後だった。「(選手たちに)嫌われる嫌われないではなく、勝てるか勝てないか」と覚悟を決め、部員の前で「変わってほしい」と涙を流し訴えかけた。この姿にチームは奮起。全力疾走などの基本姿勢が改善され、ノーシードから夏決勝まで勝ち上がった。
8回に逆転を許したが、最終回に4連打の猛攻で1点差にまで詰め寄った。「厳しいことを言っても、何も言わずについてきてくれた。決勝まで連れてきてくれてありがとう」と、夏にまとまったナインにすがすがしい表情で言葉を贈った。【村山玄】

