京都国際(京都2位)が近江(滋賀1位)にサヨナラ勝ちしてベスト4に入り、3年ぶりのセンバツ出場を濃厚にした。

0-0の9回1死二塁。京都国際・清水詩太内野手(1年)が初球を振り抜いた。打球は左翼前ではずみ、二塁から突っ込んだ高岸栄太郎外野手(2年)が間一髪でホームイン。劇的な幕切れに、跳び上がる選手、うれし泣きの選手が入り乱れて抱き合った。

打席に向かう前、清水は後ろを振り向いた。ボールパーソンの藤本陽毅内野手(2年)と目が合った。病気でベンチを外れていた先輩は、左胸にトントンと右こぶしを当てて、ほほえんでくれた。「藤本さんは僕にとって特別な存在。気持ちが入りました」。

入学以来、野球センスはあるが、弱気で思い切りがないのが課題だった。今秋の京都府大会の決勝でも最後に凡退し、優勝を逃した。藤本の無言のメッセージとともに、そのシーンを思い返していた。「ここでやらないとダメだ、と。腹をくくりました」と自らを奮い立たせて初球を振り抜いた。

藤本は1年夏から強豪の遊撃を守り、プロも注目する好選手。だがウイルス性肝炎と合併症を発症。1週間の入院を含めて長期間、地元福岡で過ごしていた。京都に帰ってきたのは25日。チームは「藤本のために」と結束し、大接戦を勝ち切った。藤本は試合後、人目もはばからず号泣していた。

守り勝つスタイルをいかんなく発揮した。エース中崎琉生投手(2年)が完封。藤本の代わりに遊撃を守る清水らが、堅守で支えた。小牧憲継監督(40)は「投手戦は覚悟していた。とにかく粘ってと思っていた。こういう試合を乗り越えて、チームの絆みたいなものが高まったと思います。最初はまとまりに欠けたチームでしたが、劣勢でも絶対に勝つ、という姿勢が今日は見えました」と喜びをかみしめた。

準決勝では大阪桐蔭と対戦する。指揮官は「27三振するんじゃないですか」と笑いながらも、「公式戦で桐蔭さんとどれくらい戦えるか。現時点の指標になると思う。いい経験にしたいですね」と心待ちにした。

初めて甲子園に登場した21年春以来のセンバツ出場が見えた。22年春は出場を決めていたが開幕前日に新型コロナ集団感染で出場を辞退。代わりに出場した近江が、準優勝まで勝ち上がった。その近江を倒しての「当確」だった。【柏原誠】

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