金足農・相馬英典捕手(3年)のルーティンが実った。

1点差の9回1死満塁、バッテリーミスでも同点となる場面で、エース吉田大輝投手(2年)の元へ歩み寄った。「最後はおれを信じろ。思いっきり低めに投げてこい」と、16安打を浴びながらも力投を続ける2年生エースにゲキを送った。中飛で2死となり、最後のバッターをカウント2-2から、外角低めにワンバウンドするスライダーを、ミットとプロテクターで止めた。一塁ファウルグラウンドへ転がった白球を一塁へ送球。歓喜の輪に少し遅れて飛び込んだ。3回には自身で右越えにソロを放っていた。

親元を離れて下宿生活を送る。中学まで一緒に暮らしていた祖母の栄子さん(78)が、今も変わらない孫のルーティンを明かす。

「小さい時からこの子はずっと帰ってくると必ずスパイク磨いて、バット磨いて、グラブ磨いて。帰ってくると玄関先で磨くの。今もそうみたい。下宿のおばさんが言ってるから」

その心を英典は「自分、使う道具をきれいにしておきたいタイプなので。こういうことをやってれば、いつか救われるというか。自分がピンチになった時に救ってくれるんじゃないかなって」と照れくさそうに打ち明ける。甲子園を決める場面で、バッテリーミスのピンチを技術と同じく磨いてきた道具が救った。

祖母は孫の甲子園出場決定に、「良かったです。いつもホームラン打つとご褒美あげるの。今度は甲子園、ばばも行きたいと思って頑張ってます」と喜びもひとしおだった。英典は「親元を離れて野球をしに来て。本当に家族の支えが一番かなと思ってます」。祖母の話になると、より一層ほおが緩んだ。

これ以上ない形で家族へ恩返しが実現した。遠く離れた地へ“修行”に出た孫の活躍を、祖母がしっかり目に焼き付けていた。【黒須亮】

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