ア・リーグ本塁打レースで、エンゼルス大谷翔平投手(27)とブルージェイズのウラジーミル・ゲレロ内野手(22)がハイレベルな争いを展開中。一騎打ちの様相を呈してきました。

そのブルージェイズは新型コロナウイルスの影響による入国制限により、昨年から本拠地カナダのトロントでプレー出来ず、米国内でのホームゲーム開催を強いられました。しかし、ようやく政府の承認を受け、30日(日本時間31日)から公式戦では2019年9月29日以来670日ぶりに、本拠地ロジャーズセンターに戻ります。

今季は開幕から5月までキャンプ施設がある米フロリダ州ダンイーデンの球場を使用。6月からは昨年と同じく、傘下3Aが本拠を置くニューヨーク州バファローで主催試合を行ってきました。

メジャー3年目のゲレロは開幕から絶好調で、22歳以下でシーズン最初の90試合で30本塁打、75打点以上を記録するのは、1937年のジョー・ディマジオ(元ヤンキース)以来、史上2人目の快挙です。最大の難関とも言える大谷との本塁打王争いを制すれば、メジャー史上14人しかいない3冠王獲得も夢ではありません。

特にダンイーデンの球場では21試合で打率4割1分、11本塁打と大当たり。さらにバファローの球場でも23試合でホームラン10本を量産。両球場合わせて44試合で21発を稼いでいます。ただ、ダンイーデンとバファローの両球場に比べると、ロジャーズセンターはホームランが出にくいとされます。実際、ゲレロは同球場では通算62試合で打率2割3分9厘、わずか5本しかホームランを打っていません。

ゲレロはカナダのモントリオール生まれ。同姓同名で殿堂入りした偉大な父が所属したエクスポズ(現ナショナルズ)時代に同地で誕生し、父の故郷であるドミニカ共和国で育ちました。そのため、カナダとドミニカ共和国の二重国籍を持ち、母の教育によってフランス語も流ちょうに話せるようです。そんな背景もあってカナダでは絶大な人気を誇り、本人もカナダ人であることを誇りに思っています。

果たして本拠地カナダの風が、ゲレロに恩恵を運んでくれるでしょうか。環境の変化が2人のマッチレースにどう影響するのか、残り約60試合の戦いから目が離せません。(大リーグ研究家)(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)