アスレチックスが人気の急降下に直面している。現地19日に本拠地リングセントラル・コロシアムで行われたオリオールズとの地元開幕戦は1万7503人の観客が入ったものの、翌日は3748人という42年ぶりの低水準を記録した。が、観客数の減少はこれで終わらず、21日には2703人というチーム史上最少記録を更新することになったのである。

さらに低迷は続き、その後3日連続で1万人未満となり、25日のレンジャース戦でようやく1万1083人と1万人を超えたものの、低迷から抜け出せそうな気配はない。

ではなぜ人気がこんなにも下がっているのか。それは新スタジアムを巡るゴタゴタが続いており、チームが移転すると見限ったファンが多いためだろうとみられている。

リングセントラル・コロシアムは1966年竣工で老朽化しており、さらにアメリカンフットボール兼用として建設されたため野球観戦に最適といえる構造になっていない。そのためアスレチックスは長年にわたり新スタジアムの建設を地元自治体に求めてきた。

交渉は難航したものの、オークランド市がようやくサンフランシスコ湾に面したウオーターフロント地区に新スタジアム建設計画をまとめるまでになったのである。この建設計画は3万5000席の屋外スタジアムのほか、その周辺に最大3000戸の住宅、150平方フィートのオフィス、27万平方フィートの小売店、28万平方フィートのホテル、3500人収容のアリーナなどが含まれる一大再開発計画だ。

2月にオークランド市議会は建設計画の環境影響評価報告書を承認、これでアスレチックスはオークランドにとどまることが決まった。かに思われたのだが、今月に入って地元海洋・港湾・交通団体の連合が、環境影響評価報告書の市議会での承認に異議を唱える訴訟を別々に起こしたのだ。またも暗礁に乗り上げた状況である。

さらにアスレチックスはオークランドでの新スタジアム建設と同時にネバダ州ラスベガスへの移転にも強い興味を示してきた。MLBチームがないラスベガスはアスレチックスの招致に秋波を送っており、建設費10億ドル規模のドームスタジアムの建設に5カ所以上が名乗り出ている。

実は最少観客数を記録した21日、オーナーのジョン・フィッシャー氏、球団社長のデーブ・カバル氏ら幹部が、新スタジアム建設予定地の地権者らとラスベガスで会談していたと報じられもした。

これでは人気低迷も仕方ないと思わざるを得ない。まずはこの本拠地問題が決着するしか解決の道はなさそうだ。