ア・リーグのワイルドカードシリーズが29日(日本時間30日)に開幕し、ツインズ前田健太投手(32)が日本人選手の先陣を切った。アストロズ戦に先発し、5回2安打無失点と好投した。今季最多の3四球を与え、要した球数は91。石橋をたたいても渡らないポストシーズン(PS)仕様の投球で任務を遂行した。ツ軍は終盤にリリーフ陣が崩れて初戦を落とし、ポストシーズン17連敗。北米主要スポーツの連敗記録を更新した。

抑え方を頭にインプットし、前田は歯を食いしばって腕を振った。1点リードの4回2死満塁。左打者レディックへの決め球にスライダーを選んだ。「相手のデータを冷静に考えながら、とにかく三振を取る気持ちが強かった。冷静、かつ気持ちの入ったボールが投げられた」。空振り三振に仕留め、こん身のガッツポーズで2度ほえた。

直前、投手コーチ、捕手らがマウンドに集まり、確認事項を話し合った。

レディックは今季、速球系のボールに対して打率2割6分3厘。スライダーやカーブなどの変化球には、同1割5分4厘。「打ち取るために配球して、冷静にボールを選びながら投げました」と徹底的にスライダーで攻めた。慎重に慎重を重ね、リスクをできる限り減らし、ピンチを脱した。

ドジャース時代から5年連続でPSに進出し、1点の重みを熟知する。それでも「力みとか気持ちが入りすぎた部分もあった。ストレートが大きく外れるボールも多かった」。先制点を与えまいとする意識が強い上、緊張感の中でボール球が増えた。5回91球の交代を「もうちょっと長いイニングを投げられればベストでしたけど、第1戦の先発としては最低限の仕事ができた」と振り返った。

シリーズ突破には2連勝が条件。前田は「チームが勝つことを信じながら、僕自身は次の登板に向けて調整したい」。万全の準備を整える。【斎藤庸裕】